2022 年 12 月 27 日 17:48
お客様満足が社員の満足
昔から、ESなくしてCSなしと言われていますが、時々CSが先ではないかと思うことがあります。
先日、ある社員がいい表情をして会社に帰ってきました。苦労した仕事が一段落し、それがお客様にとても喜んでいただけたと言います。彼は何か月もの間、どうすればもっと役に立てるのかと考え続け、準備や打ち合わせを重ねてきたので、仕事が終わった時に、お客様から「ありがとう」と言葉をかけてもらえたことが本当にうれしかったのでしょう。
やりがいを感じてやっているから、お客様に喜ばれる仕事ができたとも言えますが、お客様に喜ばれたからやりがいにつながったとも言えます。鶏と卵のような関係です。ただ、よく考えてみればこうした感動を味わうことができるのはお客様がいるからこそ。感謝されたことが喜びにつながったのは間違いないですが、何とかして「お客様に喜んでいただきたい」と仕事をしている間もやりがいを感じていたと思います。
「もっとお役に立ちたい」とCSを考えていること自体がESを高めるとすれば、やはりCSが先。誰かに喜んでもらおうと思いながら仕事をしていくことは、幸せに働くことの出発点かもしれません。
最近、社員満足や働きがいということが盛んに言われるようになっていますが、それを高めるのはお客様満足だとすれば、全社でお客様満足に向かって仕事をしていくことがいちばん最初のスタートかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 12 月 20 日 11:08
やりがいを高める「Pからの参画」
年末年始は、今年を振り返る時期ですが、一年の終わりに「去年の自分より少し成長できた」と感じられたとしたら、それは本当に幸せだと思います。こんな風に自分の成長を実感できる一年はどんな一年なのかでしょうか。
自分の成長を感じる一年は、やはり、面白く働けたと感じられた一年だったのではないでしょうか。
私自身の体験でも、大きな成長を感じる時は大きなチャレンジをしている時。仕事はいつも以上に大変だった。今年はやったことがないことにトライして本当に苦労した。苦労は多かったけど、それをしていることに充実感があり、面白いことだったと振り返られる時、その一年の終わりに自分の成長を実感します。
当たり前ですが、しんどい、嫌だと感じているだけでは、新しいことに挑戦するのが嫌になります。つい「楽」な方を選んでしまうし、同じことを繰り返しがち。面白いと思って取り組むからこそ、もっと良くしていこう、もっと新しいことに挑戦していこうという気持ちが生まれます。楽しさは成長に比例するものだと思います。
先日、弊社のセミナーに東京で飲食店を経営する「ねぎしフードサービス」の根岸社長とその社員の方にご登壇いただいたのですが、社員のやりがい・人財育成についてお伺いしました。
働く人が仕事にやりがいを感じて働いていくためにいちばん大切なことは何かという質問に対して、社長は「社員がPから参画することだ」と話されていました。PというのはPDCAのPのことですが、ねぎしフードサービス様では、経営計画づくりやお客様づくり、人財共育など、経営の重要なことに社員の皆さんが参画し、みんなで決めていく文化・風土があります。普通はPを会社が考え、社員はDOだけをやる。しかし、それでは社員のやりがいも成長も生まれない。Pから参画していくことで仕事が自分事になり、やりがいになる。やりがいがあると人は成長する。だからPからの参画を大事にしているのだと言われていました。
確かに、誰かが決めたことをやる仕事より、なぜするのか、どれくらいやればいいのか、どうすればうまくいくかという経営の計画から参加する方がやりがいは高まります。例え、それが大変でも、自分達で考え、決めたことなら、最後まで頑張りたいと思えるはず。PDCAのPから関わることで「自分事」になるという組織を続けてこられた結果、コロナにも不況に負けない強い会社になっていったそうです。
仕事が楽しいと思える一年とは、Pから参画し、仕事を自分事として取り組むことができた一年だったともいえるのかもしれません。来年をより良い一年にするには、Pから考える、Pへの参画を増やすことがいちばん大事なのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 12 月 13 日 16:10
仕事を任せる
仕事は自分でやることも大事だけど、人に任せることも大事だと良くいいますが、「人に何か仕事を頼む」というのは、なかなか面倒なことです。どんなことをやってほしいか説明をするところから始まり、依頼した後も質問に答えたり、成果をチェックしたりやることはかなり多くなります。
だからつい、「自分でやった方が早い」と人に頼まず自分で仕事をやることを選んでしまう。特に納期が迫っている時など、悠長に人に頼んでいる暇はない、自分でやる方が早いと思ってしまいます。
ただ、こうやって「自分がやった方が早い」と何でも自分で仕事をし続けていると、だんだん「この仕事はあの人にしかない」という、いわゆる属人化という問題が生じてきます。組織でこれが増えれば、その人の負荷は大きくなり、もしその人に何かあったら仕事は回らなくなってしまいます。「任せず自分でやったほうが早い」という選択肢は目の前の仕事が早く終わるので、最適な選択に見えて、長期的にみると、実は最適ではないということにつながりかねません。
手間ひまかかること、面倒なことは避けがちですが、逆にそうした「面倒」の中に学びもあります。人に何かを任せるのは余計なことが増えていきますが、人に自分の業務を教えていると、改めて自分がわかっていることやわからないことが整理されたり、説明を考えていく中で改めてその仕事の要点が見えてくることもあります。任された側はもちろん成長しますが、実は任せた側が成長していることに気づきます。
任せたり、任されたりすることで、マニュアルができる。教える力がつく。仕事の穴が発見できることもある。教える人と教わる人の絆が深まり、チームの生産性も向上する。面倒なことが生み出すものは少なくありません。
自分で責任をもってやりきることも大事ですし、人に任せるのは手間ひまかかりますが、その面倒は未来への投資とも言えます。仕事を任せるといっても、丸投げするだけでは良くありませんが、抱え込まず、思い切って仕事を任せていくことは個人にとっても会社にとっても大事なことかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 12 月 08 日 15:21
遠回りの道、プロセスの大切さ
先日、ある勉強会で、ネッツトヨタ南国の横田相談役と西精工の西社長に、「結果とプロセス」について話し合う機会がありました。
業績・利益がなければ会社は存続しません。だから「結果」を出すことが求められます。結果が出ると人は活気づきますし、そこに報酬が結び付けば一層喜びが高まります。しかし、「結果」を出すことばかりに固守すると、かえって良い結果がでないことがあります。結果を出せない人を追求したり、強く非難する。次第に会社の空気が悪くなる。結果、全体のやる気が低下し、結果も出なくなる。不正が生まれたり、個人主義になってしまうこともあります。しかし、結果が出ないと会社はつぶれてしまいます。結果を大事にするからこそ、それ以上にプロセスを大事にする。ネッツトヨタ南国さんや西精工さんも、遠回りでも、プロセスを少しずつ改善していくことの重要性を話されていました。
今、両社は業績も良く、離職者も少ない素晴らしい会社ですが、最初から良い会社であった訳ではありません。そんな2社が大事にされてきたのが「真因」を見つけ、改善すること。例えば「社員に危機感が少ない」という課題があった時、危機感をあおるだけで危機感が高まるものではない。なぜ、そうなっているのか?その根本原因はどこにあるのか?深く考え根本原因から解決していく。
昔、西精工で大きな事故が発生した時に、西社長は「なぜ、こうした事故が起きたのか」と、その真因を徹底的に考え抜かれたそうです。そしてたどり着いた結論は、事故の「真因」は、働く人の人生の生き方や考え方が未熟だから、事故が起きてしまった。働く人がいきいき働けない風土に問題があるのだ、ということでした。そこから、挨拶の改善、掃除や朝礼の見直し、人づくりや会社風土の改善に取り組まれていかれました。ただ、そうした取り組みは簡単に「結果」につながるものではありません。スポーツでいうと腹筋やランニングなどの基礎練習のようなもの。やったからといってすぐに結果は出ない。それでも、これをしなければ「よい結果」は生まれないと信じて、長年努力を続けてこられた結果、ようやく社員がいきいきと働く会社、事故やミスが起こりにくい会社になられたそうです。「遠回り」に見えることが、実は最も近道である。お二人の経営者が「プロセス」の重要性を語られていたのが印象的でした。
今、サッカー日本代表の選手たちが、素晴らしい活躍をしていますが、わずか数秒の瞬間に良いプレーができるのは、それを想定した練習を、子供の頃から嫌がらずに積み重ねてきた選手だけだと言われています。個人でも、会社でも、やはり良い結果を出すためには、遠回りの道を歩むこと。プロセスを大事にしていくことがいちばん大事なのかもしれません。
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DOIT! 素晴らしい組織風土づくり
2022 年 11 月 29 日 09:58
ブランドのバトン
「あの会社の商品なら間違いない」と、その会社の名前を聞くだけで信頼が高まり、モノやサービスを購入する時の決め手のひとつになります。多少高くても購入しよう。あの人にも勧めよう。お客様の信頼の証がブランド力です。
もちろん、全国に名が響く会社のブランド力は大きいですが、地域にも主婦に絶大な人気を誇るスーパーや地域で長く活躍する老舗の和菓子屋さんなど企業規模に関わらず、どんな会社にもブランド力というものがあると思います。
ただ、そのブランド力は簡単に作れるものではありません。
老舗ホテル、帝国ホテルには「10・10・10の法則」というものがあるそうです。
この「10・10・10」というのは、信用、すなわちブランドを構築するには10年かかる。しかし、その信頼を失うのはたった10秒。そして失った信用を取り戻すのには、また10年かかるという意味です。また「100-1=0の法則」というものもあります。フロントでいいおもてなしをした、客室係がよいおもてなしをした、料理部がいいおもてなしをしたとしても、どこかひとつでも悪い応対をすることがあれば、積み上げた満足はすべて台無しになる。「100―1=99」ではなく、「O」。同社ではこの2つの法則を社員全員が心に刻もう、「さすが帝国ホテルだ」と言われるように頑張っていこうと声を掛け合っているそうです。
地域の小さな企業にも、長いお客様がいて、「ブランド」(信用・信頼)があります。そのブランドがあるからお客様は信用して購入してくれる。状況が苦しくなると、つい忘れがちになりますが、今、そのブランド力の恩恵を得られるのは、ただ年月が経ったからではなく、その10年の間に、数々の先輩たちがコツコツと真面目に仕事に取り組んでこられた積み重ねがあったからこそ。出会ったお客様に仕事を通して感動を提供してこられた先輩の仕事がまさにブランドの源泉です。
「あの会社なら・・・」「あの会社の製品なら・・・」
ブランドとは、先輩たちが積み上げたお客様の企業への信頼という資産。
信頼を築くには時間がかかりますが、失うのは一瞬。たった一人の行動がお客様の信頼を失ってしまう。それ以上に、その業界の全体の信頼まで失うこともあります。
いい加減な仕事をするということは、先人の努力を無駄すること。そして、受けた恩を返すためにも、その信頼を未来の仲間にバトンをつなぐ。今の仕事を全力でやっていくことが、今の私たちの責任だと思います。
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経営理念の浸透・共感
2022 年 11 月 22 日 17:54
顧客満足向上活動
先日、関連会社の顧客満足向上を推進されている方から、顧客満足の改善活動で一部の現場の社員の人たちが悲鳴をあげているというお話を聞きました。それぞれの現場に顧客満足調査のデータが送られ、その改善点を洗い出し改善する活動なのですが、いくらやっても次々と改善点が出てきてしまう。「もうしんどい」「きりがない」という声が出ているそうです。ここ数年、日本中でCS意識が高まり、サービスのレベルが年々高くなる中で、お客様の基準が高まっていますので、まさに終わりがないのがCS。その悲鳴もわかる気がします。
しかし、私も様々なCSの高い会社を見てきましたが、そうした「きりがない活動」に全員が前向きに取り組み続けている会社もあります。目標が高くなるほどやることのレベルが上がり、確かにハードになっていきますが、一方では疲弊感になり、一方では喜びになる。なぜこんな差が生じてしまうのでしょうか。
活動が義務感になってしまう時。ひとつは本当の目的を見失ってしまっている時があります。子供の頃の勉強もそうでしたが、親からテストの点数を責められたり、あれをしたか、これをしたかと行動ばかりを指摘されると、勉強の本来の目的がわからなくなり、勉強が嫌になる時があります。もしかすると、疲弊感を覚えてしまうのは、顧客満足調査の数値をあげることや決められたおもてなしの行動をちゃんとやることが目的になってしまっているのかもしれません。もちろん大人ですから、頭ではわかっているはずですが、数字で迫られるとついそこに気持ちがとられてしまいます。
人からの命令を受け、ただやっていると、「させられている」と感じてしまいます。どこかで決まったことを「やれ」と言われる。自分が納得することなら良いのですが、納得できないこともある。でもやらなければ怒られる。そうした中で「させられる」という気持ちが生じる。させられるから長続きしない。手を抜きたくなる。そしてまたCSが下がる。誰も悪くないのに悪循環が続きます。
やはり、人は何のためにやるのかと納得して働きたい、決める場に参加して自分の意見もしっかり言いたい。やるなら、自分が納得したことをやりたいと思うのが普通の人の心。しかし、全員が参加するのは難しいし、指示をしてやらせる方が早い。受ける側も会議に時間を取られたくない。それぞれが良かれと思いやっていっていることが結果として悪循環になる。「やらされる」をなくすにはどうすればいいのでしょうか。
解決策はそれぞれの状況で違うはずですが、顧客満足の高い会社の活動をみていると、ほとんどの会社が社員が参画する場を大切にする風土があります。なぜやるか、何のためにやるのかを徹底的に話し合い、全員で決めていく。時間はかかるやり方かもしれませんが、納得感は高まります。こうした風土を地道につくっていくことが、もしかすると長期的にはいちばん成果で出て早い方法かもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 11 月 15 日 10:21
あきない商売
昔、仙台に、福の神と呼ばれる仙台四郎という方がおられました。
仙台四郎さんは、宮城県仙台市生まれで江戸時代末期から明治時代に実在したとされている人物です。その方が詠んだとされる「あきないの心得」を紹介します。
この詩は、時々、居酒屋のトイレなどに貼られているので、ご存じの方も多いかもしれません。
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「あきない」
商売はあきないという
それはおもしろくて しかたがないから あきないなのだ
いつもおもしろいから 笑顔がたえないから 「笑売」となる
「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」
いつも活発だから 「勝売」となる
あきない商売を おもしろくないと 思っているとすぐあきる
いつも不平不満や愚痴がでて 心が次第に 傷ついて
「傷売」となってしまう
こんなお店には そのうち 誰もよりつかなくなり
「消売」となって消えてしまう
「笑売」をしているのか
「傷売」をしているのか
「勝売」をしているのか
あきない商売をしているのか
*************************************
先日、ある飲食店で食事をしましたが、元気で明るい店主の笑顔にたくさんのお客様が集まっていました。昔からあきない商売をされているので、コロナ禍でも応援するお客様がたくさんおられたそうです。
営業スタッフにしろ、技術屋さんにしろ、お医者さんにしろ、自分の商売が「面白い」と感じてやる人の仕事は工夫があり、それが感動を与え、お客様が自然とよっていくのかもしれません。
「笑う門には福来る」。
笑顔の絶えない人や店が繁盛するのは時代を超える鉄則なのでしょう。
仕事をおもしろくするのも、つまらなくするのも自分次第。
あきない商売をしていきたいですね。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 11 月 08 日 17:55
やる気スイッチ
時々、塾などのCMで「やる気スイッチ」という言葉を聞くことがあります。
「やる気スイッチ」というのはどんなことなのでしょうか。
褒められてやる気になる、叱られてやる気になる。確かにスイッチのようなものがあるのかもしれません。
やる気スイッチを「押してあげる」という代表的なものは「褒める」こと。子どもは(大人も)人から褒められると嬉しいので「褒める」とやる気になります。その上、ご褒美などをもらうとさらに嬉しいので、また褒められようともっと頑張る。ただ、こうした外からのやる気の付け方は気を付けないと依存症のようになることもあるそうです。
先生や親にもっとよく褒められたいと、人の顔色を見るようになる。いつも褒められていた人が、「出来て当たり前」とみられるようになり褒められなくなると、今度は不安になる。褒めてほしい、認めてほしいと他人の評価が気になる。「褒める」ということは確かにやる気を高めることですが、扱いに気を付けなければ却って不安な人を増やすことになりかねません。
そもそもやる気は自分の中のもの。人に押されなくても、自分で勝手にやる気が高まることもあります。
例えば、仕事の全体像が見えず、言われた仕事をやるだけ、一部分の仕事をやっている感覚の若手の時にはやる気がわかなかったのに、年数が経ち全体を任されるようになると、責任と共に仕事の本来の目的や意義がわかってくるようになる。
「自分の仕事はこんなにもたくさんの人に影響を与えているのか。こんなにも喜んでくれる人がいるのか。」仕事の意義、仕事の面白さがわかってきた時に「やる気スイッチ」が入ります。誰かに押された訳でなく、意義がわかった、面白さに気づいたという時に、自分の中で勝手に入るスイッチです。若い人をみていると「最近、目つきや顔つきが変わってきたな」と感じる時がありますが、やる気スイッチが入った人は雰囲気や行動が変わってきます。こちら側のやる気は、他人の評価などを気にしない、良質なモチベーションです。
そもそも、人に押されて「やる気」になる、ならなかったりするのは自分の人生を他人に委ねているようなもの。本当は自分がやりたいからやる、自分が面白いと思うからやるという「やる気」が本物のやる気。人に左右されるやる気より、ずっと続く持続的なやる気こそが、本来大事にすべきやる気だと思います。
褒めるにしろ、叱るにしろ、そのことで、その人が仕事の意義や面白さにいかに気づいてもらえるように仕向けるか。他人には押せない自分の内部のスイッチは、そのような環境をつくってあげることしかできないのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 11 月 02 日 18:36
良き社風をつくる
企業にはそれぞれ独自の社風があります。
社風はその企業が持つ、独自の慣習や雰囲気ということですが、その空気は社長をはじめ、そこで働く社員の人たちが作りあげています。
話しやすい雰囲気、意見が言いやすい雰囲気、助け合うことが当たり前になっている雰囲気、みんながお客様のことを一生懸命に考える雰囲気。こんな良い雰囲気だと仕事はしやすいはずですし、会社も成長していくはずです。
しかし、こうした雰囲気はどのように生まれているのでしょうか。
会社が良い雰囲気になっているということは、そこで働く一人ひとりが、相手の意見を聞こう、みんなで助け合おう、みんなでお客様に役に立とうと思っているということです。つまり、そうしたことが良いと思う価値観を持つ人がたくさんいるから、そんな空気が生まれています。
例えば、失敗を恐れずチャレンジするという社風があるとすれば、きっと先輩もそうするのが当たり前になっているはずですし、上司も自分も過去にそうしてきたから、部下にもそういう機会を与える。この会社の理念や方針の中に長年「失敗を恐れずチャレンジしていこう」という価値観が刻まれていたからこそ、そうした雰囲気の社風になっているはずです。
逆に、そうなっていないとすれば、失敗すると責任を取らされる、叱責されるから、リスクを取るより安定の道を行くことが良いという価値観の人が多いということ。つまり、社風は企業の理念やこれまでの歴史、その企業の中で働く人が体験してきて生まれた価値観が重ね合って生まれていくものです。だからこそ、社風を変えるのはなかなか難しいのかもしれません。
ただ、雰囲気が悪い社風の中ではいろんな問題が起こってきます。意見が言いにくいと不満もたまる。チャレンジを恐れると改善も生まれない。みんなが助け合わないと生産性も悪くなる。社風や雰囲気は様々な問題に直結しています。
どうやって良い社風をつくっていくか。
働く人にしてみれば急に価値観を変えろと言われても変われません。みんなの意見を聞く場や理念を考える場など、様々な経験・体験を通して少しずつ成長し、変わっていくのが人の価値観なのではないでしょうか。
よい社風をつくる道に、近道はないのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 10 月 25 日 10:23
誠実な人達
先日、いつも利用するコンビニエンスストアに立ち寄ると、店長らしき人から声をかけられました。
「申し訳ありません。前回、お買い上げいただいた時に、他の商品の分までお支払いをされていたようで、こちら、お返しさせていただきます。」と謝られ、ビニール袋に入った152円を渡してくださいました。
私は、いつもICカードで払っているので気づかなかったのですが、店長は私のことを覚えていてくださって、お返しするために小銭を用意してくれていたようです。本当に申し訳ないという気持ちで謝れる店長。私はその正直で誠実な姿勢に感動してしまいました。
当たり前といえば当たり前のことかもしれませんが、黙っていても済むようなことを正直に話してくださったこのお店の姿勢に、朝から良い気分になりました。
正直である、誠実である。
商売において、これほど大事なことはありません。
ある建設会社の方が、工事をする時に、職人として誠実な仕事をしたいと話をされていました。例え国が定めた基準にクリアしているから、お客様がOKといってくださっているからといって、「職人として、この品質では良くない」と思えば費用がかかってもやり直す。誰も見ていないからと、いい加減な仕事をすれば、自分自身に悔いが残るから絶対に手をぬきたくない。お客様満足よりも、自分に恥ずかしくない仕事をしたい。こんな話をされていました。
こんな正直な人たちは、もしかするとお金儲けは下手なのかもしれません。でも私は、こういう人たちが信頼できますし、仕事を頼むなら、買い物をするならこういう姿勢の人たちに頼みたいと思います。
利益ではなく、理念を追求する。そうした姿勢が長期的な信頼を生み出していくのではないでしょうか。
人に対しても、自分自身に対しても、仕事に対しても、やはり誠実でありたいですね。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 10 月 18 日 11:47
「楽しさ」の歯車が回り出す瞬間
「やらされ感」ではいい仕事ができない。仕事は楽しくない。
これは心の中では誰でもわかっていることですが、上司の命令だからやるしかない、仕事だからしょうがないと、やらされ感を覚えながらも、与えられた仕事をなんとかこなしていけば、なんとか仕事は進んでいきます。
昭和の時代は、そんな感情を持ちながらも「歯を食いしばってやるのが仕事だ」「好き嫌いを仕事に持ち込むな」と気持ちを奮い立たせてみんなが頑張ってきた時代でした。やらされ感であろうがなかろうが、なにくそと働いていくのが常識の時代だったと思いますが、今やそんな常識は通用しません。
どうすれば、人はやらされ感ではなく、自ら進んでやりたいと思えるようになるのでしょうか。
先日、ある若い社員から、「最近、仕事を追求していくことが楽しくなってきました。面白くなってきました」という嬉しいメールをもらったのですが、きっかけは、ある仕事の責任者として矢面に立ったことだったようです。その仕事は、先輩に頼らなければできない大変な仕事だったのですが、何とかやりきり、お客様から感謝されたことで、仕事の楽しさや喜びを感じたようです。
自らやっていくことの面白さ、仕事の目的を追求していくことの面白さを一度知ると、それからは仕事の仕方が変わります。私もそうでしたが、一生懸命に取り組んだことが人に役立った感動体験は、働く楽しさに気づく大きな転機になります。
ただ、大変な仕事ほど、途中でくじけることもあります。先ほどの若い社員を支えていた先輩社員の存在が大きかったようです。横にいてくれた先輩が、仕事に妥協せずに取り組んでいる姿やお客様に喜んでもらいたいと一生懸命に頑張る姿勢が支えになったようです。上司や先輩の関わり方が大切になってきます。
その若い社員は最近、自分から本を読むようになったり、仕事の効率を考えてどんどん工夫や改善をしています。人を思いやるゆとりや感謝の気持ちも高まってきて、毎日が楽しそうです。
一度「楽しい」という歯車が回り出すと、言われなくても動き出すのが人。楽しさこそ、成長の原動力だと思います。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 10 月 12 日 13:23
仕事の厳しさ
令和の時代に、昭和の話をするのは本当に時代遅れですが、昔は厳しい人がたくさんおられました。厳しいというのは、偉そうにしたり、人を罵倒したり、こき使うということではなく、「いい仕事をすること」に本気で取り組み、自分にも、周りにも厳しいという人です。
私が育った映像制作の業界では、監督、カメラマン、照明、音声など、様々な独立事業主が現場に集まり、ひとつの作品を作るために、喧々諤々議論をしたり、いいものが撮れるまで何度もやり直しをして、みんなでいい作品を作ってやろうと必死に頑張っていました。
現場では何度も叱られたり、怒鳴られることもありましたが、飲み会の席でも、いい作品を作るために議論をしている先輩の姿を見ていると、やっぱり、この仕事が好きだからこそ本気になるのだなあと、カッコよさを感じ、いつの間にかこの空気が好きになり、本気になっていきました。
撮影というのは様々な条件の中でやりきらないといけない厳しい世界。チームが一丸とならないと良いものはできません。だからこそ、現場には、今ならパワハラと思われるような罵声も飛び交っていましたが、そこには「いい作品を作るんだ」という夢に向かって進むチームの一体感がありました。
厳しい現場を一日頑張って、みんなで酒を飲み、次の日を迎える。先輩と語り合う中で、先輩の仕事への想いや、私を育てようとしてくれる優しさを感じることもあり、決して心がすさむことはありませんでした。知らない人から見ると厳しい世界に見えると思いますが、本当に人がいきいき働いている現場でした。
今は時代が変わり、若い人を怒ることも叱ることもなかなかできません。遅くまで働くこともできませんし、飲み会の機会も減ってきました。なかなか若い人に面白さを伝えることが難しくなっています。
もちろん、こんな昭和のやり方がすべて良いとは思いませんが、「良いものを作るんだ」「もっと良くしていこう」という気概がなく、ただ決められた仕事をこなすだけでは、いいものは生まれませんし、企業は成長していきません。働く人も仕事の面白さもやりがいも感じることはできないのも事実です。
厳しくてもいきいきと働ける組織と、厳しくて人が荒んでしまう組織と何が違うのでしょうか。
私が若い時、厳しい中でもやりがいを感じることができたのは、仲間が「みんなでいいものをつくろう」という夢があったから。この夢がない組織では、ただ仕事をするだけになってしまうでしょう。
会社でいうなら、理念やビジョン。もっと良いものを提供していこう、もっとお客様に喜んでもらおうという「共通の夢」への共感が、チームにとっていちばん大事なのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 10 月 04 日 17:05
役立つ喜び
仕事の喜び、働きがいの要素はいろいろあると思いますが、その中でも「役立つ喜び」は誰にとっても大きなやりがいではないでしょうか。私も先日、一年かけて関わらせていただいたある会社の研修の最終日に、参加者の方がやる気になって取り組みをはじめられた姿をみて、本当にうれしくなりました。どんな人でも、自分が全力で取り組んだ仕事で、誰かが喜ぶ姿を目にすると、大変だったけど頑張った甲斐があった、やって良かったとしみじみと嬉しさがこみあげてくるのではないでしょうか。
太古の昔から集団で生きてきた動物である人間には、仲間に共感し、助け合うことに喜びを感じる本能があると言われています。助け合うことに喜びを感じますし、誰かが喜ぶ姿をみると、逆に自分も、もっと頑張ろうというエネルギーがわいてきます。「人の為」は、自分を殺した犠牲的な行為ではなく、自分の喜びであり、やりがいではないでしょうか。
ただ、仕事を機械のようにこなしていると、この喜びを忘れてしまうことがあります。昔から仕事をしっかりと進めていくには、仕事のタスクを書き出し、優先順位をつけてやりきることだと言われています。確かにいい仕事を数多くしていくにはこの能力は不可欠。処理して終了のチェックすることでやりきった感がありますし、効率的になるので生産性も高まります。
ただ、日常的に、こうした仕事をしていると、頭が次のタスク、次のタスクと処理に追われて、何かむなしくなる気持ちになることもあります。喜びを感じる暇もなく、処理することだけが仕事になり、追われるような日々に疲れもたまってきてしまいます。タスクを処理するロボットになったような自分を感じることがあります。
どの商売も、本来は、利益や効率をあげるのが目的ではなく、誰かを喜ばせること、満足していただくことが目的のはず。本来の目的を忘れてしまうと、本当に仕事はむなしいものです。
昨日、どんな喜びを感じたか?どんな感動を味わったか?私たちは朝礼でそれぞれが昨日の仕事の喜びや気づきを振り返る時間がありますが、一見無駄なようでも、大事な時間になっています。
誰かに役立ちたい。誰にとってもそれは「生きがい」ではないでしょうか。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 09 月 27 日 11:46
見えない資産
経理の帳簿には今月の売上高はいくらであると、数字一行で表されますが、その売上高は、ひとつひとつのお客様の代金であり、見えませんが、そこにお客様の気持ちがあります。
その日たまたま買いに来られたお客様もいれば、遠くから車を飛ばしてわざわざこのお店に買いに来てくださった方もいて、お客様のいろんな思いの上に「売上」という数字が出来ています。
もちろん、どのお客様もありがたいお客様であるのは間違いありませんが、このコロナ禍で、改めて自社を愛し、利用し続けてくださる「常連客」の大切さを感じている方も多いと思います。
「この会社の人たちが好き」「この店でなければ」「この会社の姿勢が好き」と贔屓にして通い続けてくれる。顧客の比率にすれば数割かもしれませんが、そういうお客様は何年、何十年と通い続けてくださっている訳で、自社を支えてくださる本当にありがたい存在です。数字で表される「売上」「利益」も資産ですが、こんなお客様のお気持ちこそ、会社の「見えない資産」だと思います。
他にも企業には見えない資産があります。それが働く人達の「やる気」という資産。働く人達がこの会社のために頑張ろうと支えてくれる思いがあって苦しい時も乗り超えられる。この会社が好きだから、この仕事が好きだからという思いも、目に見えませんが、大事な資産です。そして、仕入れ先の人たちの気持ちも見えない資産。
仕入れ先の人たちの誠実さ、お客様の信頼、働く人のやる気。どれも損益計算書や貸借対照表に出てきません。でも、いずれもなくなってしまうと明らかに会社は衰退していきます。大切なものほど見えないと言いますが、このコロナ禍で「見えないもの」の大切さに気付くことが多くなりました。
見えないものをみる。見えないからこそ、あえて心をそこに向けていくことが大事な気がします。
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 09 月 21 日 13:52
仕事を好きになる
「仕事が好きですか?」と問われると「好き」と答える人はどれくらいおられるのでしょうか。
「仕事は好きとか嫌いとかでやるものじゃない」という考え方もあります。確かに好きだからやる、嫌いだからやらないでは成立しないので、仕事に好き嫌いの感情を持ち込まない方がいいのかもしれません。
ただ、昔から「好きこそものの上手なれ」というように、仕事でも趣味でも、「好き」でやっている人は、勝手に練習したり、好きだから、苦しいことも厭わずに取り組んでいくので成長していきます。
YouTubeでも自分の趣味や好きなことにチャレンジしている動画たくさん投稿されています。朝早に起きて釣りに行く、何時間もかけて山に登る、成功するまで何度も何度も挑戦する。傍から見ると「大変だろうな」と思うことでも、好きな人は「そこがいいんです」と大変さが「やりがい」になり、やっていくうちに上達して、また面白くなる。やはり「好き」という力は人間にとって、大事で大切な力なのだと思います。
だから、仕事が「好きなこと」になれば、苦労も楽しくなるし、勝手に成長していくし、何より毎日が楽しくなると思うのですが、嫌いな人に「好きになりなさい」と言って好きになるものではありません。好きは自分の気持ちです。どうすれば仕事が「好き」になるのでしょうか。
そもそも仕事に「好き」という感情を持ち込んでいない人は、自分は何が好きを考えてみることからかもしれません。ここが好き、ここが面白いという部分に気づけば、仕事全体が好きになることもあります。また「好きだから一生懸命やる」のも事実ですが、「一生懸命やっていると好きになることもある」というもの事実だとしたら、まずがむしゃらに一生懸命やることも大事。最初から「好きで始めた人」は意外と少なく、今の仕事が好きだという人の多くはだいたいが後者のパターンではないでしょうか。よく先輩から「とにかく腰を据えて一生懸命やってみろ」と言われましたが、確かにどんなことでも一度本気になってやらないと、心から「好き」という気持ちは生まれません。
松下幸之助さんや稲盛和夫さんも、以前から「仕事を好きになること」の重要性を説かれていましたが、人生の大半を占める仕事の時間が「好きな時間」になれば人生も豊かになるのは間違いありません。
「好きな仕事」や「自分に合う仕事」を探すのもひとつの方法かもしれませんが、今の仕事を好きになる、好きになるために努力するという方法もきっとあると思います。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 09 月 13 日 11:36
人柄
以前、大手芸能プロダクションの社長のお話を読ませていただいたのですが、芸能界で売れる人はやはり人柄が良いことが大事だということでした。誰に対しても謙虚で、ちゃんと挨拶をする。感謝の気持ちをもっているから、スタッフにも愛され、だからまた使ってあげたいという気持ちになる。最後は人柄だと書いておられました。
確かに、長く芸能界で活躍するタレントさんを見ていても、表では面白いことを言って笑わせたり、逆に毒舌であったとしても、裏側では後輩や仲間を大切にしたり、スタッフの人たちを大切にしたりされていると聞きます。もちろん、芸能界を生きぬくためには才能がなければ使ってくれないものだと思いますが、どれだけ才能があったとしても、偉そうな人は嫌われて一緒に仕事をしたくない。才能があっても消えていく人も多い厳しい世界です。
自分の身近でも、ビジネスの中での人柄の大切さを感じることがあります。例えば、コンビニエンスストアは系列店ならどこも品揃えが同じで差はないはずなのに、私がいつも利用するのは同じ店ばかり。店長さんをはじめスタッフの皆さんが親切な上に、私の好みを覚えていてくれたり、ちょっとしたPOPに気持ちがこもっているので、いつもそこを利用してしまいます。営業マンでも売れる人はみんな、お客様からも仲間からも好かれる人。謙虚で仲間思いのリーダーがいるとチームが活性化します。やはり人柄ということでしょうか。
しかし、これまでビジネスの世界では、成功するためには、スキルを磨くこと、経験を積むこと、知識を増やすことだと言われてきて、接客の勉強はあっても、人柄を磨く勉強会というのはなかなかありません。ということは、これまで人柄や人格というものは、それほど大事だと思われていなかったのかもしれませんが、知識や情報はどこでも手に入る時代になると、ただ知識があるというだけでは選ばれにくくなっています。知識があるのはもちろんですが、やはり誠実な人や想いやりのある人と仕事をしたい。誰もがそう思うのではないでしょうか。
しかし、仕事における人柄や人格の大切さについては、昔から言われていることで、成功してきた経営者は皆、人格を磨くことの大切さを伝えておられます。そう簡単に人柄を変えることはできませんが、成功した人は皆、自分の心を磨く努力をされています。人柄を磨いていくことはどんな時代になっても最も大事なことなのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 09 月 06 日 17:09
謝れるリーダー
先日、ある会社の研修をさせていただいた時のことです。
冒頭、その会社の社長がみんなに話があるということで、あることについて謝罪されました。詳しい内容は割愛しますが、社員の皆さんの前で「自分が悪かった」と謝られたのです。社員の皆さんもびっくりされていたようですが、私も、こうやって素直に自分が悪いと認め謝罪できるリーダーは本当に素晴らしいなと感じました。
経営でもチーム運営でも、必ず結果が出ない時やうまくいかなくなる時があります。そんな状況の時に、リーダーがどういう姿勢を示すか、どんな言葉を発するか。その姿勢次第で、メンバーの気持ちが大きく変わると思います。
以前、ある会社で、一部のスタッフのミスでお客様から大きなお叱りをいただいてしまい、そのことをきっかけに様々なところから批判を受けることになるという事態になりました。その経営者は何が悪かったかと悩み考え続けました。至った結論は、こういうことが起こる原因は、自分が外部の仕事にばかり目が向いてしまい、スタッフにちゃんと向き合う時間をつくっていなかったからだ。そう反省された経営者は、さっそくみんなを集めて「自分が悪かった。これからは外の仕事をなくし、もっとみんなとの時間をつくる」と頭を下げて謝られたそうです。ミスは自分の責任だ、きっと怒られるだろうと思っていたそのスタッフも、それの周りにいた他のスタッフも、自分に指を向けるリーダーのその姿に感動し、「悪いのは自分達だ」とみんなで、こんなクレームを出さないようにするにはどうすればいいかと話し合い、改善をしていかれたそうです。その出来事から、またその会社のお客様サービスや社員の意識がどんどん高まっていきました。
リーダーが人のせいにしていると、部下も人のせいにする。リーダーが自分の責任だと素直に認め、誤っていくと、部下も自分に指を向ける。リーダーの姿勢通りに育っていくのかもしれません。
しかし、多くの場合、結果が出なくなったり、うまくいかない状況になると、上司が部下を叱責し、部下が上司に謝るということが起こります。しかし、そうした状況にしてしまったのは本来リーダーの責任。この責任を受け止め、勇気をもって謝れるリーダーであるかどうか。謝れるリーダーの勇気のもとで、部下は前に進む勇気が出るのではないでしょうか。
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これからの時代の人財育成
2022 年 08 月 30 日 11:05
勝利至上主義の弊害
スポーツの世界のことはあまり詳しくありませんが、少し前から勝利至上主義が問題になっているそうです。
そもそもスポーツは勝利を競い合うもので、それ自体には問題がないのですが、指導者やその周りの人たちが勝つことだけを追求するあまり、体罰が起きたり、燃え尽き症候群になったり、スポーツが嫌いになり辞めてしまう人もいます。
まわりから日常的に過剰に勝利を求められると選手は成功や失敗、勝利か敗北という結果ばかりに気にするようになる。それがプレッシャーを生み、実力を発揮しにくくなる。結果がでないと「自分は価値がない人間だ」「才能がない」と自分を否定する。過度のプレッシャーで実力を発揮できず、「こめんなさい」と泣き崩れているオリンピック選手などの姿もそうしたことからくる結果なのかもしれません。
本来スポーツは楽しく、勝つこと以外にも、人間形成や相手や仲間を敬う気持ちなど、いろんな学びがあるはず。好きで夢中になってやっていたスポーツが嫌いになってしまうのは、本当に悲しいことです。
仕事も同じかもしれません。結果や業績ばかり追求する環境にいると、いつの間にか、仕事は数字をあげることだと、仕事の目的が変わってしまうことがあります。そして、だんだんと仕事そのものの楽しさや喜びに意識が向かなくなる。そのうちに仕事が嫌になってしまいます。
そんな気持ちでいると成果が出ない。出ないとまた追求される。それでも「やらなければならない」と、仕事が「義務感」になる。好きだったモノづくりが、面白かった営業という仕事がいつの間にか義務感でやっている。そんな人が増えているとすれば、勝利至上主義のチームのようなことが起こっているのかもしれません。
スポーツ界では、ここ数年、そうした勝利至上主義の反省があり、結果重視ではなく、選手の成長に主眼をおく「プロセス重視の指導」に少しずつ変わってきているそうです。勝利という結果ではなく、どんなプレーをすればいいか、どんな心で向き合えばいいプレーができるかと、技術やプロセスを磨いていく。そうした指導に転換する高校も増え、最近は、甲子園でも勝利の重圧に負けず、笑顔でプレーをしているチームも見かけるようになりました。確かに、義務感や恐怖感で野球をやるチームより、好きなことを、夢中に取り組んでいるチームの方が強いはず。
「楽しい」「面白い」と、本来の仕事の喜びややりがいを感じながら働いていきたいですね。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 08 月 23 日 14:07
お客様は弱者である
「お客様は神様です」という言葉は、歌手の三波春夫さんの言葉です。
ご存じの方も多いと思いますが、これは「お客様を神様なのだから何でも言うことを聞かなければならない」という意味ではなく、三波春夫さんは、自分の歌手としての姿勢として、「歌うときは、あたかも神前で祈るときのように、澄み切った心でなければ完璧な芸を見せられない」という趣旨が本来の意味です。
しかし、これが誤解されて使われるようになり、自分はお客様だ、店員より上の立場だ、神様だと偉そうな態度をとるお客様が出てきてしまうことも生まれています。本来、お客様とお店は対等な立場であってどちらが上、どちらが下というものではないはずなのに。
ではお客様をどうとらえるか。以前、「お客様は弱者である」という考え方に出会いました。これは顧客満足度で有名な神奈川県のホンダカーズ中央神奈川の創業者、相澤賢二さんがお客様に対する姿勢として大切にされていた考え方ですが、相澤さんは、「お客様は確かに理不尽な要求をされることもある。しかし、それは不安の裏返しでもある。誰でも高い買い物をする時には不安になるし、心配もする。だから、神様の言うことだから我慢をするのではなく、弱者なのだから、お客様を助けてあげようと思って接していこう」と社員に伝えておられました。
確かにお客様というのは素人で、知らないことばかり。ネットで知識を得たとしても、プロには太刀打ちできません。特に高いものを買う時に不安にならない人はいないはず。そんな時にお客様の不安な気持ちを理解してくれる人がいると安心します。お客様の気持ちに寄り添って、親身に対応するホンダカーズ中央神奈川の人たちのそんな姿勢にたくさんのファンが生まれているそうです。
お客様は弱者である。
皆さんにとってお客様はどんな存在ですか。
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DOIT! お客様満足・感動の向上
2022 年 08 月 18 日 15:15
子どもの遊びと夢中になる仕事
夏休み。行動規制のない久しぶりの夏。
いろんなところで元気に遊びまわる子供たちの姿が目に飛び込んできます。
先日、ある番組で、田舎の豊かな自然の中を駆け回り、自分たちで遊びを考え、工夫をしながら夏休みを過ごす田舎の子供たちが紹介されていました。
沢の水、川、山、林。そこにあるものを利用し、自分達独自のルールややり方を考えて遊びをつくる。創造性が思う存分発揮され、失敗の中からいろんなことを学んでいる様子を見ていると、子どもの成長にとって自発的な遊びは学校で学ぶこと以上に本当に大事なことだと思います。
仕事の中も同じかもしれません。言われたことだけ、決められたことだけを、決められたままにしていては何の成長もない。やはり、同じ仕事をしていても、教えられたことをしているのでなく、自分でもっとよくしようと工夫したり、挑戦したり、主体的にかかわっていかなければ成長していかないと思います。
以前、ある方から、「人から言われて行う仕事の成果を1とした場合、目的や意義を理解して行う仕事の成果は1.6倍、自発的かつ発展的に行う仕事の成果は2.56倍(1.6の2乗)となる」ということをお聞きしたことがありますが、数字はその通りになるかはわかりませんが、確かに夢中になってやっている仕事は、それくらいの違いはありそうです。
子供と大人が出てくる建築会社のコマーシャルではないですが、仕事に夢中になっているときの大人の顔も、遊びに夢中になっている子どもの顔は似ています。仕事が遊びのように感じる。遊んでいるかのように仕事をする。そんな仕事をしていくことが、自発的で発展的に仕事をすること。結果として生産性にもつながっていくのだろうと思います。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 08 月 09 日 11:18
「ありがとう」が多い職場
「ありがとう」という感謝の言葉が多い職場、そんな言葉が一切交わされることがない職場。
「あなたはどちらの職場で働きたいですか」と尋ねられたとすれば、ほとんどの方が前者と答えられるのではないでしょうか。後者の職場、忙しさの中で人間関係が希薄になった殺伐とした雰囲気を感じてしまいます。
「ありがとう」という言葉は人間関係の潤滑剤。「ありがとう」と言われると誰でも嬉しくなるし、その人との心の距離が近くなる。つまり、職場に「ありがとう」という言葉が多いということは、そこに良い人間関係が生まれているということで、人々が助け合っている証拠。「ありがとう」が多い職場は「働きがい」を感じる人も多いはず。チームワークも良い。きっと組織の生産性も高いはず。離職者も少ないでしょう。
しかし、あなたは昨日、どれだけ職場の中で「ありがとう」と言いましたか?と尋ねられたとしたら、もしかすると胸が痛くなることもあるかもしれません。家ではどれだけ「ありがとう」と言いましたか?という質問はどうでしょうか?これもドキッとする質問です。
みんなそんな職場がいい、そんな職場で働きたいと思っているのに、つい自分の仕事に没頭してしまい、心に余裕がなくなると、つい「ありがとう」と言わなくなってしまう。潤滑剤がなくなっているので、相手にも気づかうこともしなくなる。職場の中で助け合う気持ちも行為も少なくなる。ふと気がつくと、職場の中に「ありがとう」という言葉が少なくなっている。みんなが孤立して、もくもくと自分の仕事だけをする。こんな職場が増えているのかもしれません。「ありがとう」という言葉は、あたりまえで普段はあまり気にしないのかもしれませんが、人間関係にとっては大きな影響を与える大切な言葉だと、改めて思います。
なぜ、「ありがとう」が言えなくなるのでしょうか。
「ありがとう」の反対語は「あたりまえ」。「してくれてあたりまえ」「されるのが当然」と思っていると感謝の気持ちはわいてきません。親から離れて一人暮らしをした子供が、今まで親がしてくれたことに気づき感謝の気持ちが芽生えるように、「あたりまえ」だと思っていたことが、「あたりまえ」じゃなかったと気づいた時に感謝が生まれます。もし、自分が「ありがとう」という言葉が言えない時は、きっと「あたりまえ」じゃないことに気づけていない時かもしれません。
あの人はみんなの為に倉庫の掃除をしてくれる、あの人はいつも進んで嫌なことを引き受けてくれる、あの人は暑い中でも外回りをしてくれる。それは「その人の仕事だ」「あたりまえだ」と思うか、みんなの為に「してくれている」「がんばってくれている」と思えるか。自分の「あたりまえ」の基準がどこにあるか。
私自身も、つい「あたりまえ」と思ってしまい、なかなか「ありがとう」が言えません。振り返る時間が大切なのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上 思うこと
2022 年 08 月 02 日 10:53
掃除ひとつできないような人間は何もできない
「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」
これは、パナソニックの創業者、松下幸之助さんの言葉です。
掃除というと、単純な作業、簡単にできることと思いがちですが、松下幸之助さんは、ずっと掃除は人間を成長させる大事なことだと考えられていたそうです。
確かに、掃除とは単純な作業のように感じます。
言われた場所を言われた通り、掃除という行為をこなすようにすることも掃除といえば掃除です。
しかし、「綺麗にする」という気持ちで掃除をしている人は、小さな汚れに気づいてそこを掃除します。
誰でもできる掃除でも、いかに綺麗にするか、いかに段取り良くやるかと考えていくことが仕事の面でも成長につながっていく。だから、「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」ということなのでしょう。
「どんな仕事でも、単純な仕事でも、真心をこめてやらないと具合が悪い。そこからいろいろなものが生まれてくるわけや。掃除の仕方でも、やっているうちに、こういう掃除の仕方があるということがわかってくる」
汚れに気づくということは、変化に気づくことができること。
それをすぐに綺麗にすることは、問題解決に向けてすぐに行動できること。
手順よく掃除ができることは、仕事も効率的に行えること。
まさに、仕事の向き合い方がそこに表れているのかもしれません。
朝、行う店内や社内の掃除。
たった10分の掃除でも、どれだけ真心をこめてやっていくか。
単純な作業とどう向き合うか。
掃除は自分の心を磨く修行の場と言われるのは、こんなところにあるのでしょうか。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 07 月 26 日 10:12
成長が実感できる環境
若い人が成長していることを感じた時、本当にうれしくなります。以前より、頼もしくなったな、大人になったな。若い人の成長ぶりが嬉しくなるのは、私だけではないと思います。
成長は周りの人も嬉しいですが、いちばん嬉しいのは本人に違いありません。しかし、残念なことに、職場で成長を感じられず、やる気をなくしたり、転職を考えたりする人もいます。人間は基本的に成長したいという欲求がある生き物ですから、成長を感じられないという状況は、確かに面白くないに違いありません。
しかし、考えてみれば、人は毎日成長しているはず。お客様の話を聞く、難しい仕事に挑戦する、失敗する、成功する。恥をかく、悔しくなる。一生懸命に仕事に取り組んでいれば、自分の中の何かが、必ず成長しているはず。それなのに、成長を感じられないのは、もしかすると「成長に気づく機会がない」だけなのかもしれません。
入社してきた新人や若い人が苦労している様子をみていると、「そういえば自分も苦労していたな」と以前の自分を思い出し、成長した自分を感じることがあります。しかし、そんな機会がなかったり、毎日追われるように仕事をしていると、自分の成長に気づけません。成長に気づくには、振り返る機会が必要です。
120万部のベストセラー、映画「ビリギャル」のモデルになった女子高生を指導された塾講師、坪田信貴さんが、子どものやる気を高めるには、まず、大人が子供たちの小さな成長に気づくことが大事だと言われていました。「できるようになったね」「すごいね」と、子供たちの小さな変化に気づいてあげる。そして、それを伝えることで、子供たちは自信がついて伸びていくそうです。
成長するというと、何か、大きな変化を考えがちですが、毎日、少しずつの小さな変化の積み重ねで、わずかな変化は、自分自身ではなかなか感じることができません。その変化にまわりの人が気づいて、伝えてあげれば、確かに自信がつくのでしょう。
会社でも同じかもしれません。部下の成長に関心をもっている上司や先輩がいるかどうか。お互いが成長に関心を持ち合う職場かどうか。人間同士の関わりの中で、自分を振り返る機会が増え、成長を実感できるのかもしれません。
人の成長にとって、環境がいちばん大事な気がします。
(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)
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これからの時代の人財育成
2022 年 07 月 20 日 10:54
お客様に寄り添う営業
自分が一人の消費者として商品を購入する時に最近感じることですが、昔に比べてお客様に寄り添ってくれる営業や販売スタッフが多くなったような気がします。
営業といえば、一昔前は、いかに商品を売り込むか、いかに買わせるかと押しの強い人が多かったような気がしますが、さすがにそれでは物が売れなくなってしまったのでしょうか、お客様の立場に立って一緒に購入を考えてくれる営業に切り替わってきたのかもしれません。
先日も、自動車保険のことで、ある会社のコールセンターに電話をしたのですが、その窓口の方は熱心に、自分の保険のように一緒に内容を考えてくれて、私の要望に応えながらも、できるだけ安くしようと考えて提案してくれました。メリットもデメリットもしっかりと伝えながら説明してくれるので、とてもわかりやすく、安心して選ぶことができ、その姿勢に非常に信頼が持てました。何かあれば、次もこの人に相談しようという気持ちになったのですが、たぶん、どんな商売でも、こうしたちょっとしたことでファンが生まれてくるのだろうと、つくつぐ「お客様の立場になること」の大切さを感じました。
昔の営業は、お客様と営業が向き合っているようなイメージ、戦うようなイメージだとすれば、今の営業はお客様と営業が隣に座って、お客様と一緒に、お客様が解決したい問題、叶えたい夢を相談しあっているようなイメージかもしれません。先ほどの窓口の方が、契約金額ができる安くなるように一生懸命に時間をかけて相談に乗ってくれたように、自分の利益を優先するのではなく、お客様の利益や幸せを優先して考える営業が、結果として満足や長期的な信頼を生み出し、次の販売が約束されていくのだと思います。
私はたぶん、しばらくはこの会社を続けて利用したいという気持ちになっていますし、次も、きっとその次も利用すると思います。そうすると、この窓口の方が生み出した利益は今回の契約における利益だけではなく、数年分の利益を生み出していることになります。たった十数分間の応対でしたが、担当者の姿勢だけでファンが生まれたとすると、これこそがお客様が少なくなる時代の営業の姿なのかもしれません。
昔、営業は辛い仕事だと言われた時代があります。世の中が、少し消費者の立場になって進んでいく時代がきたのだと思うと嬉しくなります。やはり、営業は人の役に立ち、喜びを一緒に感じることができる、素晴らしい仕事です。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 07 月 12 日 10:16
「場の空気」をつくるもの
皆さんの会社でも、社内でいろいろな会議をされていると思います。
これから先は何が起きるかわからない時代。時代に応じた新しいやり方、新しい価値を生み出していくためには、社内の会議で「いい話し合い」ができるかどうか。以前にもまして、会議のあり方が重要視されるようになっています。
「いい話し合い」とは、参加者が全員が意見を言い、喧々諤々と建設的に意見を戦わせて、一人では思いつかないようなアイディアが生まれたりするような活気があふれる話し合いだと思いますが、日本人にはなかなか発言するのが苦手な人が多く、意見があっても言えない、遠慮するという人もいて、なかなか理想通りにはいきません。
しかし、そんな遠慮がいらない居酒屋などでは、みんなが本音を語り、若い人も、会議で発言しない人も発言します。お酒の力もあるのでしょうが、会社の中でも、こんな話し合いができれば、会社はもっと変わっていくのだろうなと、いつも思います。
会社の会議で発言しにくい原因は、「ここで違う意見をいうと会議が長引いて迷惑をかけてしまう」という気持ちや、「ここで発言すると自分がやらなくてはいけなくなる」「否定的なことをいうと、後で怒られる」など、過去の経験からの恐れなど心理的な背景があると言われていますが、どうすれば、みんなが「ここでは何を言っても大丈夫だ」と安心して話せるようになるのでしょうか。
以前、社員がどんどん発言し、社員が主体的に働くことで有名な会社の経営者に、このことを伺った時、「私は、社員がどんな発言をしても表情を変えないようにしてきた」とおっしゃっていました。確かに、若い人が勇気をもって発言した時に、隣の上司や先輩が、少しでも怪訝な顔をしたり、不満そうな表情をするだけで怖くなってしまうことがあるかもしれません。そうした表情が「空気」になって、他の人にも影響を与えるのだとすれば、この経営者の言われたことは理にかなっています。
どんな意見でも馬鹿にされない。否定されずに、ちゃんと聞いてくれる。上司の意見に対しても、おかしいと思えばおかしいと言える。
過去があっての今なので、なかなかそう簡単に空気は変わらないかもしれませんが、上司の表情ひとつでメンバーのいいアイディアや意見が変わっていくのだとすれば、上の人たちから、自分たちがつくる「場の空気」にもっと意識的に取り組んでいくことが大切なのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 07 月 05 日 09:34
自分で決定する
リーダーの人たちから、時々「うちの部下はやる気がない」という言葉を良く聞きます。しかし、本当は部下のやる気を引き出せないのはリーダーの問題で、正しくは「私は部下のやる気を引き出せていない」ということだと思いますが、やる気の問題はいろんなところで問題になります。
よく「やらされ感」「やらされている感」という言葉を使うことがありますが、意外と曖昧です。「本当は、自分はそうしたくないのに、人からやり方を強制されて、やりたくない・納得をしないままやっている。だからやる気がわかない」という状況でしょうか。
自分自身を振り返ってみても、やり方を押し付けられるのはいちばん嫌です。自己決定理論という研究もあるそうですが、人は自分のことは自分で考えて、自分で決めたいという基本的な欲求があり、これを制限されるのがいちばん辛い。「つべこべ言わずに、言われた通りにやれ!」と言われると誰だって腹が立ちます。上司や経営者が「やらされ感」を感じないのは、立場上、自分で決められることが多いからかもしれません。
しかし、組織に所属している人だと、決まりを押し付けられり、やり方を強制させられることもあります。この時に、納得もせず受け入れようとすると「やらされ感」になりますが、もし、そこで、自分自身でやる意味、やる意義を見つけ出し、「自分が納得したからやる」と言えるようにするか、あるいは、押し付けられた「やり方」をやりながらも、創意工夫しながら「自分のやり方」をやっていけば、「自分で決めた仕事、自分で考えてやる仕事」になるはずなので、欲求は満たされていくはず。やらされ感は生まれません。
でも、「自分で決定する」のは勇気もいるし、面倒です。だから、つい「言われた通りにやる道」を選んでしまうこともありますが、その道は、最初の時は気が楽でも、後々辛くなってしまいます。
働く人はいかに「自分で決める」ということを大事にするか。リーダーはいかに「自分で決める」ことを支援するか。人間の基本的な欲求を満たしていくことが、人にとっていちばん幸せになる道かもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 06 月 28 日 14:01
伝わるのは「真心」
先日、ある地方都市で仕事がありました。日頃お世話になっている先なので、訪問前にお土産を買おうと思ったのですが、朝から開いているお店がない。調べてみると少し離れた大型ショッピングセンターが開いている。タクシーで行くことにしました。
その旨を運転手さんに伝えると、運転手さんは、そのショッピングセンターのいちばん近くの入り口を探してくれただけでなく、帰る時に困らないようにとタクシー乗り場の場所を教えてくれたり、そこから訪問先まではこれくらいの時間がかかると教えてくれたり、それは親切にしていただきました。おせっかいといえばおせっかいと言えるのかもしれませんが、私のためにいろんなことをしてくれるその運転手さんの真心に心がホッとしました。いつもの都会で受けている接客ではない、心が伝わってくる接客でした。
そのサービスが、なぜ心に残ったのか。
きっと、運転手さんの行為に、打算や見返りを求める気持ちがなかったからだと思います。田舎に旅行に行った時などに、町の人たちが親切にしてくれて感動することがありますが、運転手さんの対応はまさにそんな感じのものでした。人に親切にするのが当たり前。お互いに協力し合い、助け合って暮らしておられる田舎の人たちの「当たり前」が嬉しかったのかもしれません。
そもそも、「ホスピタリティ」(hospitality)の語源は、「客人の保護者」という意味を持つラテン語「hospes=ホスピス」と言われていますが、巡礼などに旅立った人が途中で病気や飢えで倒れた際に修道院で看護を行うことを指す言葉。日本人だけでなく、そもそも人間は群れを作って生きてきた動物であるので、支え合って生きていくために「思いやり」や「親切」は人間が本来持っているDNAなのでしょう。
ただ、昔は、近所の人が関わり合って、お互いが助けってあって生きてきたので、「人に親切する」というのは自然に学んできたのですが、今の時代は、なかなかそんな機会がないのかもしれません。
お客様を満足させるとか、お客様の為にと意識してマニュアルや形にとらわれるのではなく、まず自分の中にある普通の良心や真心に素直に従って動いていく。それが、サービスを提供する側にとっても自然な行為であり、形ではなく、その形の奥にある裏表のない真心だけが、相手に伝わっていくのだと思います。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 06 月 21 日 10:02
問題・課題を見つけて解決する力
問題と課題。よく使われている言葉ですが、若い人たちはこの違いに気づかず、自分の悩みを自分でなかなか解決できない。そんな人も多いように感じています。
本当はこうしたいけど、うまくいかない。理想と現状のギャップが「問題」です。
その人が、「こうありたい」という理想をもって追いかけているからこそ、「問題」にぶつかるわけですから、理想を持たないようにすれば、問題は簡単になくなります。
「自分には何も問題がない」というのは、一見良いように見えますが、それは追いかける高い理想がない状態、あるは現状維持で満足ということとも言え、もしかすると、そこが問題かもしれません。
しかし、理想があっても、自分の「問題」がしっかりわかっていない場合もあります。
先日、ある会社の若い社員人たちの悩みを聞く機会があったのですが、その中の一人の若者の悩みは、仕事にモチベーションがわかないという悩みでした。仕事でうまくいかないことが多く、上司からも怒られ続ける日々。仕事に自信をなくしているようでした。
何か問題は感じている。しかし、それを言葉に出来ない。だから何をすればいいかがわからない。その時は時間がなく少ししか話を聞いてあげることができなかったのですが、話すことで自分の問題が少し明確になったようで、明るくなってくれました。ばくぜんと問題を感じているだけでは、何も解決できません。
「自分にとって何が問題か?」をまず、短い言葉で話せるようにならないと、その先には進めないのだろうと思います。
でも、問題がわかったとしても、すぐ解決するわけではありません。次は、なぜ、この問題が起こるのか?その奥にある「本当の問題」を見つける。例えば、「仕事中に集中力がなくなり、頻繁にミスを起こす」という問題があったとする。「ミスを起こさないようにチェックリストをつくる」とやったとしても、集中力そのものが低くなっていれば、そのチェックリストすら機能しないかもしれません。なぜ、集中力がなくなってしまったのか?その奥にある問題こそが、本当の問題です。睡眠の質や寝る時間が悪くなって昼間の集中力が切れるのか。仕事の量が多くなっているのか。事実をしっかり見つめていけば、本当の問題が見つかるはず。
その上で、どうすれば理想に近づけるかと考える。理想と現実のギャップを埋めるために「やるべきこと(What to do)」が「課題」。睡眠不足で集中力がなくなってしまうのであれば、「良い睡眠をとる」というのが課題。仕事の量が多くなっていて集中力がなくなっているとすれば、「仕事を受けない」あるいは「人に仕事を任せる」「仕事のスキルを高める」というようなことが出てきますが、この課題の中で、何がいちばんやるべきことか。状況にもよって優先順位は変わりますが、決めて実行していけば理想に近づいていくことは間違いありません。
うまくいかない。問題も明確でない。だから課題もわからない。不安になる。イライラする。そうしたストレスに長くいると、人のせいにしたり、愚痴と不満を言ってみたり、逆に自分には能力や才能がないと諦めてやる気をなくしてしまうこともあるかもしれません。
上司や先輩がマニュアルを作ってあげたり、細かく指示命令をしていくことも良いかもしれませんが、これから先、きっと「マニュアルにない事態」や「思い通りにならないこと」が連続でやってくるはず。
だからこそ、その人が、自分で問題を見つけ、自分で課題を発見し、自分で解決できる力をつけてあげることが何よりも大事な気がします。
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これからの時代の人財育成
2022 年 06 月 14 日 13:28
遠回りがいちばんの近道
先日、ある企業の創業経営者とオンラインでお話をする機会がありました。その企業は私も以前に取材させていただいた会社で、業界の中でもCS・ESがずば抜けて高い会社です。
いろんなお話を伺う中で、「毎日、ほんの少しの進化することを大事にし、それを何十年もやり続けてきた」「まだまだやるべきことがある」ということをお話いただいたのですが、その言葉がとても印象に残りました。
例えば顧客満足を高めることを一気に行うのではなく、毎日毎日、社員が話し合い、みんなで少しずつ、昨日よりより良くする。社員に任せる範囲をその人の成長に合わせて広げていく。コミュニケーションの悪さを一気によくするのではなく、一人への挨拶から始めていく。その積み重ねを粘り強く続けていくことが、「大きな変化」を生み出していくと信じて、やり続けてこられました。
私たちは、つい早く結果が欲しくなり、本や事例から「やり方」を学んできては、取り入れようします。しかし、そう簡単にはうまくいかないし、結果が出ない。結果が出ないと、「このやり方はダメだ」と次の「やり方」を探す。一気に変えようと思うからこそ、「効率的」で「成果が出やすく」、尚且つ「簡単な」やり方を追い求めてしまいます。
例えば、いい会社の「やり方」を導入すれば、うちもうまくいくと考えてしまいますが、その「いい会社」は、その「やり方」に行きつくまでに、前述したような小さなことを積み重ね、その企業にあった「やり方」にたどり着いているはず。毎日の積み重ねなので、社員の人の納得感もある。
もし、他社がそのいい会社の「やり方」(形)だけを真似たとしても、社員の人たちの納得感もないし、そこまでの積み重ねがないので、目に見えないノウハウがない。だから、形だけを早急に導入してもうまくいかない。本当に学ぶべきは「やり方」ではなく、そこに至るまでに社員の人たちと話し合い、何度も何度も失敗を乗り越えて、進化させてきた、その企業の「姿勢」(あり方)なのではないでしょうか。
どうすれば、うまくいくか?どうすれば結果がでるか?と考えれば考えるほど、効率的で結果の出やすい「簡単なやり方」を真似しようとしてしまいますが、ただ、だいたいそうやって歩んだ「近道」は、結果として遠回りになってしまうことも多い。
同じようなことをイチロー選手が言っていたことを思い出します。
「遠回りがいちばんの近道」
急に変わることはないけれど、毎日、もっとよくなろう、もっとうまくなろうと、少しずつ努力し続けてきたイチロー選手ならではの言葉だと思います。
イチロー選手と、最初にご紹介した経営者の共通点は「ここをめざす」という強い目標意識があること。そして、そのためには「近道」を選ばずに、その目標に向かって毎日、自分達で考え、反省し、少しずつ進化させていく「遠回りの道」を歩んでこられたこと。
目的地にたどり着くまでの「近道」と「遠回りの道」。どちらを選ぶかですね。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい組織風土づくり
2022 年 06 月 07 日 10:18
仕事の奥にある楽しさ
「仕事は、毎日同じことの繰り返しで、つまらない。」そう感じている人も多いかもしれません。
あるホテルの経営者に聞いたことがあるのですが、右も左もわからない新人の時は一生懸命フロントで接客をやっていた人も、ある程度仕事ができるようになると以前の輝きが消え、いつの間にか辞めてしまうということがあるということでした。
確かに、ただ同じことを毎日繰り替えしていると面白くない。だから、仕事を楽しくするには「同じことを繰り返さない」ということになります。しかし、「業務は決められているのだから、毎日同じことを繰り返すだけだ」とも言われます。どうすれば楽しくなるのでしょうか。
先日、ある美容院のベテランスタッフの方に、シャンプーをしていただく機会がありました。普段シャンプーは新人や若いスタッフがすることが多いのですが、この日は若い人が研修で不在だったので、20年以上この仕事をされてこられたベテランの美容師の先生が私を担当してくださったのです。その手さばきは実に丁寧。シャンプーの間の言葉も、雰囲気も心地よく、夢見心地になってしまいました。
どのようにこういう技術を覚えられたのかと伺ってみたのですが、やはり若い時に毎日シャンプーに取り組みながら技術を向上させてきたということでした。「どうすればもっと気持ちのよいシャンプーができるか」と、手の強さや洗い方を工夫したり、人のまねをしたり。また、お客様によって頭皮の柔軟性が違うことに気づかれて、お客様の皮膚に合わせて力加減を変えるなど、「お客様にとって気持ちよいシャンプーとは何か」という課題にずっと取り組んでこられたそうです。
若い人からすると、この人は、一見、シャンプーという「同じ仕事」をしているように映るかもしれません。しかし、この方にとっては、毎日が違う仕事に挑戦している感覚なのだと思います。だから面白くなり、何十年も続けてこられたのでしょう。
どんな仕事にも「奥」があると思います。トイレ掃除でも、窓ふきでも、一見単調に見える仕事でも、もっと良くできる、もっとうまくできるはずだと追求すればするほど、だんだん奥が見えてくる。まだまだ未熟な自分に出会う。だから技術を高めたくなる。これが「仕事の楽しさ」ではないでしょうか。
「そこそこできる」で「自分は仕事ができるようになった」と思っていると、後は繰り返し。あとは、その人が、そこから先に行こうとするかどうか。若い人に、この「奥」の楽しさ、「仕事を深める」ことの面白さをどう伝えていけるかが先輩の仕事なのだと思いますが、数秒のタイミング、数グラムの力加減で出来栄えが変わるこの世界を、言葉で伝えていくのは本当に難しい。その人が「自分もそこに行きたい」と思わないとつかめません。
仕事は、毎日同じことをくり返すこともできるし、毎日進化させていくこともできる。どちらを選ぶかですね。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 05 月 30 日 17:37
社員を叱る理由
最近、上司が部下を叱れないという話を良く聞きます。
今の子供たちは褒められて育ってきたから、怒られると立ち直れない、逆ギレする。パワハラなどの法律もあって、みんながどう接していいか悩んでいます。
令和の時代に昭和の話をするのはどうかと思いますが、「社員を叱る」ということでいつも思い出すのが、顧客満足度13年連続日本一を達成したことがある神奈川県のカーディーラー「ホンダカーズ中央神奈川」の創業者、相澤賢二さんのことです。
創業した昭和の時代は、自動車業界は、訪問販売が主流でした。夜討ち朝駆けと顧客を訪問、買ってくれるまで粘る・・・。しかし、そんな無理な販売を続けていては、社員が幸せにならない。そう考えた相澤さんは、業界では誰もやっていなかった店頭販売に切り替えます。お客様に来ていただくには店に魅力がなければならない。顧客満足の向上に対して真剣に取り組むことで次第にお客様が増え続け、売り込みに走らなくても、お店でしっかりと対応していけば販売ができることを証明された会社です。今、店頭販売が主流になっていますが、その先駆けを作った会社です。
そんな相澤さんが大事にされてきたのは「社員の幸せ」。貧しい家庭で育った相澤さんは、社員を本当の家族のように大切にされた経営者。「社員は家族」が信念です。せっかくご縁があって入社してくれた社員を立派な社会人に育ててあげたい。どこに行っても通用するような人、誰からも愛される人に育って欲しいと、社員に読書をさせたり、茶道を習わせたり、掃除や挨拶の大切さなど、業務とは関係のない「人づくり」を徹底的にやり続けてこられました。
相澤さんは、社員のことを思うからこそ、時には厳しく叱ることもあります。社員が人として良くないことをした時は、「バカヤロー」と激しく怒鳴る。「二度とそんなことをしてほしくない」と思いを込めて厳しく叱る。ただ、その怒りをいつまでも引きずることなく、叱りきると翌日はニコニコとして普段のように接する。怒られた社員も最初は反発したり、不機嫌になりますが、その思いに触れると、「この人は本当に自分のことを思ってくれているんだ」と気づき、自分を変えていく。人の心が通い合う家族のような会社です。
こんな話をすると「そんななことが通用するのは昭和の時代までだよ。今の時代は無理だ」と言われそうですが、「叱らない」ことは本当にその人のためになるのか。私も悩むことがあります。叱られることから、本当の愛を感じ、自分が悪かったと気づくような体験は、人が成長していく過程には必要なのではないのでしょうか。私も、昔、悪いことをして、親から「二度としてほしくない」「そんな人になってほしくない」と怒られたことがありますが、その時の親の何ともいえない「悲しい目」が今でも心に残っています。
相澤さんに厳しく叱られ、「辞めてやる」と退職する人もいるのですが、その後、相澤さんは社内で「あいつはどうしているんだろう」「ちゃんとやっているんだろうか」と周囲に語り掛けていたそうです。そして社員が帰ってきたいと思えばちゃんと受け入れる。そんな出戻り社員が10人もいるそうです。
なぜ、叱るのか?どれだけその人のことを思って叱るのか?厳しさも優しさも最後は「その人への愛」に尽きるのかもしれません。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 05 月 24 日 10:40
失敗から学ぶ
先日、ある会社で行われた若手社員の体験発表会という勉強会に参加させていただきました。これは、新人や若手社員が、この一年間で失敗を通して学んだことを発表するのですが、自分が失敗したり、ミスしてしまった体験、そして、そこから学んだ教訓、次へどう生かしたのかなどを先輩社員の前で発表し、組織として学び合うという取り組みです。
大きな事故につながったかもしれない、小さなミスを起こしてしまった新人は、その体験から大きく反省し、「安全」や「確認」の大切さを学び、どんな時も慎重に行動することを自分で身に付けようとしています。自分の勝手な行動で回りに迷惑をかけてしまった新人は、「落ち着いて行動すること」「相談すること」の大切さを学んで、自分の行動を変えていこうとしています。悔しい思いをしながらも、成長してきた1年が伝わってきました。確かに誰でも、失敗やミスはしたくないものですが、どんな人も最初はこうやって痛い目に会い、傷を負いながら、少しずつ成長していったはず。私も、自分の若い時を思い出しながら聞いていました。
新人がこうやって失敗するのは、確かに知識や経験が浅いことが原因なのだと思いますが、その前に、その人が、新しいことに自ら挑戦し、「自ら行動した」という事実があります。何でも先輩に聞いて、指示通りに動けば失敗も少ないのでしょうが、それではこんな風にはならないはず。怒られて、痛い目に会って、悔しくなって、反省する。強く胸に刻まれるのは、自分から行動した時ではないでしょうか。失敗して経験をしていくことで仕事をする力が磨かれ、痛みを知って人間としても成長していく。こうやって成長してきたように思います。
しかし、だんだん年数が経ち経験を重ねると、事前に失敗を回避することを覚えて、失敗をする経験が少なくなっていきます。それも確かに大事なことですが、こんな新人の成長体験を聞いていると、我々は成長をしていないのではないか、失敗から学ぶ機会を失ってしまっているのではないかと、反省してしまいます。
決められたことをこなすだけの日々。確かにそれの方が、毎日が平穏に終わるのでしょうが、新人の頃のような熱い心はありません。こうやって仕事の面白さをなくしてしまうのかもしれません。
失敗をして悔しくなり、寝れなくなる。それでまた考え、再度挑戦する。これが日々が仕事を面白くすること、成長していくことだとすれば、失敗をしない日々は、挑戦をしないということであり、成長していないこと。成長している組織というのは、もしかするとたくさん失敗をしている組織なのかもれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 05 月 18 日 16:48
仕事と生きがい
先日、ある方のお招きで、改装した古民家で一日一グループのお客様だけに、フランス料理を出すお店に行きました。この店のシェフは71歳。若い時からホテルで修行し、最後は一流ホテルの料理長として経験を重ねた素晴らしい職人さん。ひとつひとつの料理が繊細で本当に美味しく、最初から最後まで楽しませていただきました。
食事をしている時、料理長自らが料理を運び、その都度、料理の説明やフランス料理のことを説明してくださいます。材料の仕入れへの時間のかけ方、お客様に合わせた調理の時間の工夫、美味しくなるか不味くなるかのギリギリの調理時間のお話など、なかなか聞けないプロの仕事の裏側を聞かせていただきました。
ひとつの料理の奥に、こんなにも工夫や努力があるのかと驚いたのですが、それ以上に、自分の仕事に誇りを持ち、楽しそうに語られる料理長の仕事への姿勢にも感動してしまいました。自分の得意分野を長年時間をかけて極め続け、今、この料理に全力を傾け提供する、そのことで人が喜んでくれる。その幸せそうな笑顔がまた自分の励みになり、収入になる。そのことが嬉しくて、また自分の技術を磨き、努力する。人生の中で、自分が心から打ち込める仕事を見つけることは、本当に素晴らしいことだなあと、料理長の話に耳を傾けていました。
今、日本人独特の幸福感である「生きがい」という概念が欧米で注目されているそうです。なぜ、日本人は長生なのか?長寿と生きがいについて研究が進んでいます。その学者がまとめた「生きがい」の構成要素が、「好きなこと」「社会が必要とすること」「得意なこと」「収入を得られること」の4つ。自分の好きなこと、自分の得意なことが出来ていて、それが社会の役に立っていると感じられ、尚且つそれが生業になっているという時に、人は生きがいという幸福感を味わっているのだそうです。料理長の話を聞きながら、このことを思い出していました。
私たちも、仕事をしていて、やりがいや幸せを感じることがあります。やりがいを感じると努力も楽しくなる。失敗したり、うまくいかないことがあると苦しいけれど、そこに格闘することで、どこか生きていることを感じる。こんな日々が生きがいを作っていくのではないでしょうか。
仕事はただお金を稼ぐ作業だと思うと、手を抜きたくなってしまいますが、自分の生きがいであれば、努力も楽しくなっていく。仕事をどうとらえるか。長い人生を豊かに生きる上でいちばん大切なことかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 05 月 10 日 10:12
新人時代の3つの権利
4月入社の新人の皆さんも、研修期間が終わり、現場に出て四苦八苦している頃だと思います。
私も昔、活躍しよう、成果を出してやろうと意気込んで現場に立った日のことを思い出します。
しかし、どんなに意気込んでも、最初からうまくいくはずはなく、先輩のようにはいきません。失敗して落ち込み、うまくいけば喜び、毎日が浮き沈みの連続でした。しかし、今思えば、そうして自分から挑戦して失敗して反省していくことで仕事の向き合い方や仕事の面白さを学んでいったように思います。
「新人には3つの権利がある」
これは以前取材させていただいた美容室バグジーさんに伝わる1年目の新人への言葉です。
1つが、失敗していい権利、1つは何でもやってみる権利、最後は何でも聞いていい権利。
失敗を恐れずに、自分からどんどんやってみる。わからないことがあれば、何でも聞いてみたらいい。失敗を恐れて何もしない、挑戦しないようでは、これから先成長しない。この一年間で、「成長の癖」をつけてほしいということで、先輩が新人にこの言葉を教えていきます。
確かに、自分自身も、新人時代は例え失敗しても、先輩たちに叱られましたが、「しょうがないよ」「また頑張れ」と温かく励ましてくれたおかげで乗り越えられた気がします。1年目に先輩が思い切ってやれと言ってくれたおかげで、「仕事は自分から取り組んでいくからこそ面白くなり、失敗してもそれを糧にしていけばいいんだ」というような、いい仕事観が醸成されたように感じます。
そういう意味でも、社会人一年目の若い人たちは、3つの権利を行使して好きなようにやってみてほしいですし、成長癖をつけてほしい。同時に、新人を迎える側も将来を見据えたかかわり方をしてあげないといけないのでしょう。
可愛い新人に対しては、ついあれやこれやと何でも教えてしまいがちになりますが、もしかすると、それが将来的にはマイナスなのかもしれません。やりたいことに挑戦させる、失敗させていい経験を積ませてあげる。仕事の面白さや成長の軌道を教えてあげることこそ、新人時代の最大の教育テーマかもしれないですね。
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「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 05 月 06 日 14:05
つまらない仕事
仕事が面白い、仕事が楽しいという状態で働きたい。
誰もが本当はそう働きたいと願っているのに、仕事は楽しくない、つまらないと感じて日々を過ごしている人は意外と多いのかもしれません。
ミスをするとお客様に怒られる、上司に怒られる。
だから、言われたことだけやって、仕事をそつなくこなそう。
そうして、機械的に仕事をしているうちに、自分で考えることがなくなり、仕事が面白くなくなっていく。
最後は自分の仕事は、「なんてつまらない仕事だ」と思ってしまう。
確かにお客様に怒られたり、上司に怒られたりすることは嫌なことですが、それが面白くないことの要因ではなく、本当はその後の仕事の仕方が、仕事を面白くなくしているような気がします。
「仕事をつまらなくする方法」はいろいろあると思いますが、一番大きなポイントは「自分で考える」のをやめることではないでしょうか?例えば、モノを右から左へと運ぶという単純そうに見える仕事を、言われた通り、言われた方法でやり続ける。ロボットのように働くとつまらない。
しかし、同じ仕事でも、運ぶ時間を測定し、どうすればもっとスピードアップできるか?どうすれば、もっと綺麗に並べることができるか?と考えていけば、モノを運ぶということでも面白くなっていきます。ただ、これも「運ぶ時間を測定してやりなさい」「早く綺麗に積む方法はこうだ」とやり方を教えてもらうと、確かに成果は出そうですが、きっと仕事は面白くなくなります。初めてのゲームをやるときに、最初から攻略法を教えてもらうような感じかもしれません。
仕事を楽しくする人は、考えていく癖があると思います。運び方だけでなく、そもそも「なぜこの仕事をするのか?」「運ばなくても目的を達成する方法はないか?」「他の手段で運べないか?」と考え続けていくから面白い。仕事をつまらなくしたいなら、考えないことがいちばんだと思います。
面白い仕事と面白くない仕事があるわけではなく、仕事は仕事。
仕事をつまらなくするか、面白くするか?その人の問題でもあり、仕事をつまらなくさせてしまう職場の環境の問題でもあるかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 04 月 26 日 14:26
経営理念を伝える
経営理念は企業が経営において最も大切にする価値観。
自分たちの会社がどんな志を持ち、何を大切にしていくか、企業の姿勢や考え方を明文化したものですが、これに社員の人たちが共鳴、共感して働いている会社は、みんなが同じ思いで働いているからこそ、お互いの協力も生まれ、喜びも共有できるからこそ、働きがいも高くなっているはずです。
しかし、この価値観をどう伝えていけばいいか。多くの会社が悩んでおられます。
そもそも「価値観」というのは、言葉で「こうだ」と教えて伝わるものなのでしょうか。
例えば、自分の親が「感謝の気持ちを忘れてはいけない」という価値観を子供に伝えていこうとした時、まずは、言葉で説明するかもしれません。しかし、その言葉を聞くだけではなく、子供が「自分も、心からそう思う」と納得し、親が何も言わなくても人に感謝を伝えるようになるには、親がことある毎に言う、常に言い聞かせるくらい、時間がかかります。しかも、そもそも、親自身が子どもに、どんなにいい言葉で話をしたとしても、親が人に感謝をしていないような行動をとっていれば、子どもは信用しない。何も言わなくても、親の後ろ姿で「価値観」が伝わっていくこともあるはずです。
企業の中でも、どれだけ経営理念をわかりやすく説明したとしても、一回で伝わるものではないでしょうし、何度も何度も伝えていく中で、社員自身が自分の仕事の体験を通してふと腹に落ちることもあるかもしれません。
私自身も、若い時に努めていた会社で、新入社員の時、初めて経営理念を教えられても何も感じなかったのですが、しばらく働き、もう一度経営理念に向き合った時その感じ方は大きく違っていました。そこから、理念が自分の頭に残り、いつの間にか、自分がいちばん大切にする価値観になっていました。
価値観を強要されることを人は嫌がります。しかし、自分がその価値観に共鳴、共感できた時、仕事が違ってみえてきます。価値観は大事。しかし、伝え方は本当に難しいですね。
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経営理念の浸透・共感
2022 年 04 月 19 日 10:42
AIのおもてなしVS人間のおもてなし
先日宿泊したホテルの部屋に、お客様のお困りごとにAIが対応するサービスが設置されていました。チェックアウトの時間はいつか?いちばん近いコンビニエンスストアは?など、お客様の問い合わせに対してAIが回答するものです。このデータが蓄積されるとお客様サービスの改善の手がかりにもなるでしょうし、人手不足の時代に、いちいち人が動かなくてもよくなります。多言語対応も用意されているので、フロントの方も安心かもしれません。きっと、どの業界でも、このようにAIが人間の仕事を肩代わりしてくれるようになっていくのでしょう。
ただ、AIには苦手なこともあります。AIは人間のような気遣いができません。
例えば、人間であれば寒い外を歩いてチェックインされた方をみると、「ああ、大変だっただろうか、さぞ、寒かっただろうな」と共感し、声をかけたり、毛布を渡したりすることができますが、残念ながらAIには感じる心がありません。もしかすると、外気温のデータ、客の服装、体温データ、顔色データなどを蓄積していけば、計算をして、「寒い中、起こしいただきありがとうございます」という言葉はかけられるようになるかもしれませんが、「熱いお茶を入れてあげよう」とか「部屋を暖かくしてあげよう」とか、想像力を発揮して対応するというのは、さらに難しくなるはず。人の気持ちは、その時、その場、その状況で全く違う。人間同士だからこそ、気持ちや心を感じることができるのだろうと思います。
また、人間は便利さだけを求めていません。例えば、外国の旅行客は、流暢に母国語を話してくれるスタッフがいると安心するのも事実ですが、日本語しか話せないスタッフが身振り手振りで一生懸命に対応してくれる方が、外国に旅行に来たという醍醐味が味わえて面白いという人もいるそうです。
最近はチェックイン、チェックアウトの自動化が進んでいますが、先ほどの寒さの中でも暖かいおもてなしがされるなら、手間がかかっても人間が対応してくれる方が、旅の疲れが癒されるという思う人もいるでしょう。
便利さも求めるし、人間らしいおもてなしも求める。人間の心は複雑です。
ただ、AIが人間の心を癒すことができないかということ、実はそうではないそうです。例えば、一人暮らしのお年寄りがAIロボットに話しかけ、ロボットが応えると、それで幸福度は上がっていくそうです。掃除ロボットが人間のように自動的に動いているものをみると、何となく可愛く感じるのも同じかもしれません。AIにもおもてなしはできるのです。
逆に、人間が人間の対応をしているのに、心が癒やされない「おもてなし」もあります。
知り合いの幸福学の先生とお話をしていた時に、人間が一番ストレスを感じるのは、ロボット化した人間の対応だと言われていました。人間なのに、「マニュアルなのでできません」と答えたり、マニュアル通りの対応しかしない。そんな時に、人間は「そんなことなら、むしろAIの方がいい。相手はロボットだと割り切れるから、イライラしなくてすむ」と感じるそうです。確かに、人間らしさを忘れた人間ほど、怖い存在はありません。
AI対人間。おもてなしの世界で、人間は何をしていけばいいのでしょうか?
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 04 月 12 日 17:11
売れているセールススタッフが大事にしていること
今、商品がなかなか売れない時代に結果を出していくことは、本当に難しいことになってきました。
そもそもお客様が少なくなっている。無理に売りつけようとしても嫌われるだけ。そこに加えて、このコロナ禍で、お客様と対面で接触しにくくなっている。商品の性能が向上して、なかなか壊れない。だから買い替えも少ない。新商品といっても革新的な技術が追加される訳でもなければ、魅力が乏しくなる。
営業スタッフは、昔の時代のように、なかなか結果が出せない時代になり、苦しんでいる人も多いのかもしれません。
この度、あるカーディーラーのトップセールスの方を密着取材したドキュメンタリー映像が発売されます。売れない中で、しっかりと成果を出していく人は、どんなことを大切にしているのか。平均の何倍も売る営業スタッフの行動や考え方に密着しました。
なぜ、お客様はこの人から買うのか。売れる理由はお客様が知っている。取材の中で私たちは何人ものお客様にお話しを聞きました。「この人は何でも相談できるから」「自分たちのことを一生懸命に考えてくれるから」と答えます。
営業は信頼を築くことが大事だと昔から言われていますが、その営業スタッフが一番大事にしてきたことは、やはりお客様との信頼関係。親身になって相談に乗る。売った後も気にかける。お客様が本音を言ってくれるような雰囲気をつくる。お客様と営業スタッフが、まるで家族のようにフランクに話す姿をみていると、成果を出す人は、こうした「信頼の絆」を誰よりも大切にしていることがわかります。
もちろん、売るためには、確かに、商品知識や商談技術が高くなければいけないと思うのですが、やはり、どんな時代になったとしても、お客様は自分に関心を持ってくれる人、大切にしてくれる人を信頼する。
「売れている営業」の姿をみていると、改めて今問われているのは、やはり営業の「姿勢」。そうした姿勢が「見えない質」を作っているのだと思いました。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 04 月 05 日 11:41
仕事のやりがいと厳しさ
新入社員が会社に入ってくる季節になりました。
昨年このコロナ禍で入社してきた新人たちは、当初、なかなか思うように教育ができないという不安もありましたが、アンケート調査などによると、逆に「時間をかけて仕事を覚えることができた。」など、ゆっくりと成長できたというメリットを感じたという声も多く、コロナ禍のこの状況が一概に悪いということでもなかったようです。
せっかく入社してくれた新入社員には活躍する人材になってほしい。誰もがそんな気持ちを持って迎える訳ですが、そんな思いと裏腹に、今、若手の離職率が増加しているようです。
先日、ネットのニュース※で、「ゆるい職場と若手の離職」が話題になっていました。リクルート社の調査では、労働時間が短くなって、会社で叱られることも少なくなっているにも関わらず、若手は逆にそれが不安になり、辞めていく人が増えているそうです。
その不安とは「会社には満足しているが、このままで自分は成長できるのか?」というものだそうです。学生時代にバイトや社会活動で体験を積んだ人ほど、「ゆるい職場」にいることが不安になる。つまり、やりがいを感じることができない職場に不安を感じているのかもしれません。
※https://news.yahoo.co.jp/articles/e9b999e24a0f485607daa39d7b661213e2c199c4
経験を積んだ人なら誰でもわかると思いますが、仕事のやりがいは、厳しさを乗り越えていく中で生まれてくるものです。
そのプロセスは本当に大変だったけど、やり遂げたときに何とも言えぬ達成感を覚えた。
長い苦労を乗り越えて、振り返ると成長している自分を感じた。
その時はつらかったけど、厳しく言ってくれた先輩のおかげで、自分は成長できたことにあとで気づく。
「あなたがいちばんやりがいを感じたことは?」と質問すると、ほとんどの方が「苦労の体験、それを乗り越えた体験」を語られますが、やはり「やりがいのある仕事」には「厳しさ」が不可欠なのではないでしょうか。
しかし、最近はなかなか厳しく指導できない雰囲気があり、上司も思い切って叱ることもできません。それが良いと思ってきたことが、かえって若手のやる気をなくしてしまう結果になっているのは本当に残念です。人を人間扱いしないブラック企業はもちろんダメですが、ゆるいホワイト企業でも人は育たない。「いい会社」は、決して「仕事にぬるい会社」ではないはずだと思います。「働きやすい職場」と「働きがいのある職場」は違う概念です。もちろん「働きやすい職場」が良いに決まっていますが、働く人が真に求めているのは「やりがい」「働きがい」ではないでしょうか。
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これからの時代の人財育成
2022 年 03 月 29 日 11:48
お客様の心の声を聴く
「お客様の声を聴く」ことの大切さはどの会社でも認識されていると思いますが、お客様の生の声を実際に聞くという取り組みをされているところは意外と少ないのかもしれません。
先日、ある会社の研修の一環として「お客様の生の声を聴く」という取り組みをしていただきました。常連のお客様に時間をいただき、今後の参考のためにといろいろなことを聞かせていただくという取り組みです。
「当社を長く利用していただいていますが、その理由は何ですか?」
「当社のどのようなところを良いと思っていただいていますか?」
「もし、改善するとすれば、どんなことを変えてほしいと思われていますか?」
普段いろいろとお話をしているお客様ですが、お気持ちの深い部分まで聞かせていただくことはあまりありません。
「お客様はこんなところを評価してくださっているのか」「こんな風に思ってくださっているのか」
研修会の宿題として、お客様のヒアリングしたお店の人たちは、お客様がなぜ他店ではなく自分たちの店を選んでくださるのかその理由がわかり、とても感動されていました。
お客様の心の声には、改善のヒントもありました。
そのお店ではお客様が駐車場に入ってこられると、スタッフが駆け寄り、ドアの前でお待ちするというアクションをされているのですが、あるお客様が「確かにうれしいんだけど、何かせかさせている気がする」ということをおっしゃったそうです。善かれと思ってやっていることが、実は相手にとっては小さな負担になっていることもある。だったら、少し離れてお待ちするようにしよう。そんな気づきもありました。
お客様は嫌なことがあっても、なかなか店に伝えることはされません。本当に嫌なら店を変えるだけ。小さな不満は心にしまって、小さな我慢をしているのかもしれません。しかし、こうやってお店の方から聞いてもらえると、その不満が出てくる。お店のことが好きだからこそ、気になったことを教えてくれる。真実はお客様にある。
喜びの声、ご不満の声、ご期待の声・・・。
お客様の生の声、心の声はスタッフのモチベーションも高めます。そのうえに、たくさんの改善点、やるべきことも見つかります。形式的なアンケートでは出てこない「心の声」を聴くことがますます大事な時代だと思います。
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 03 月 23 日 17:03
笑顔の効果
先日、スターバックスのあるお店に行った時、あるスタッフが本当に素敵な笑顔で応対してくれました。マスクをされていたのですが、笑っている目元を見ているだけで幸せな気持ちになり、気分が良くなります。仕事が好き、お客様が来てくれるのが嬉しい。そんな気持ちから生まれる自然な笑顔。その日は一日いい気分で過ごせました。
笑顔には、いろんな効果があるそうです。
例えば「笑顔」でいると、脳内に幸せホルモンのセロトニンが増え、幸せな気持ちなり、ストレスが軽減される。また、笑顔には、副交感神経を優位にして心をリラックスさせ、自律神経を安定させる効果もあるのだとか。他にも、免疫力が向上する、睡眠の質が良くなる、やる気が出てくるなどの様々な効果が確認されていています。
笑顔には、笑顔の当人だけでなく、その周囲の人も影響を及ぼしていく作用もあります。人間には他人の行動や感情を自分のように感じる習性があるらしく、あくびが伝染するように、笑顔も伝染するそうです。確かにつられて笑顔になるということは良くありますよね。笑顔が伝染し、職場に笑顔が多くなれば、働く人の健康にも、やる気にもつながる。こういう厳しい時代こそ、職場の中の「笑顔」が大切なのでしょう。
ただ、誰しもが「笑顔がいい」とわかっている。でも、なかなか笑顔でいることが難しい。楽しくもない時に笑顔になれない。不機嫌になるようなことはいつも起こるし、目がまわるほど仕事は忙しい。どんな状況でも、笑顔でいるにはどうすればいいのでしょうか。
昔からよく言われているのは笑顔のトレーニング。「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」。笑顔をつくると自然と楽しくなってくると言われていますが、口角を上げる練習を続けると良いそうです。その他にも「ウイスキー」という言葉を使って表情を鍛えたり、朝起きる時に、「今日も笑顔で過ごそう」と笑顔で誓い、寝る前に「明日も笑顔の一日にしよう」と笑顔で就寝する、赤ちゃんをイメージするなど、いろんな方法があるようです。ただ、嫌々続けても笑顔は出ないし、余計におかしくなってしまいそう。まずは、笑顔でいることの価値をしっかり理解し、笑顔でいたいと思う心をつくることが、いちばん大事なのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 03 月 15 日 15:56
自分の機嫌は自分でつくる
先般の北京オリンピック。皆さんも熱中しておられたと思います。私もいろんな競技に熱中しましたが、大活躍した日本人選手を見ていると、「この子たちはオリンピックを楽しんでいるな」という印象を受けました。
一昔前は、「日の丸を背負うプレッシャー」や「期待に応えなければいけない重圧」でガチガチに緊張して思うように力を発揮できない選手がたくさんいました。しかし、どんな状況でも笑顔でプレーするカーリングチームや失敗を恐れず難易度の高い技に挑むスノーボードの選手などを見ていると、昔の選手のような気負いを感じません。もちろん、オリンピックという大舞台ですから周囲の期待も大きいはず。しかし、だからこそ、「今を楽しむ」という気持ちを大切にしているのでしょうか。プレッシャーをうまく切り替えているように感じました。
先日、そんな金メダリストを含む様々なスポーツ選手のメンタルコーチとして活躍されている、スポーツドクターの辻秀一さんとお話をする機会がありました。やはり、最近の選手は「心の状態」がパフォーマンスや結果に大きな影響を与えることを理解し、日頃から、自分の心を「ご機嫌」な状態にすることに取り組んでいるのだとか。「今を楽しむ」という気持ちに切り替えるとか、表情から笑顔にするとか、自分で「ご機嫌な心」をつくる方法を知っているのだそうです。
しかし、そうはいっても、心は常に外界に影響を受けます。金メダルへの周囲の期待、ライバルの高得点、過去の失敗を思い出す・・。楽しんでプレーをしようと思っても、いろんなことが起こってくるので心はすぐに乱されます。そんな場面で、選手たちはどうやって心を整えているのでしょうか。
辻先生は、まず、なぜ心が乱されるのかを教えるそうです。
心が乱されるのは、外界の出来事に対して自分の脳が意味付けをして、そこに囚われるから心が乱れる。例えば朝起きたら雨が降っていた。「雨は嫌だな」と思うと憂鬱になりますが、雨に「憂鬱な雨」という雨はなく、自分がそう勝手に意味付けをするから憂鬱になる。まず、すぐに意味付けをする脳の仕組みを知ることからメンタルトレーニングを始められます。
試合中、「後1分しかない、やばい」と意味付けをするから焦り、思うような力を発揮できなくなる。しかし、1分は1分。勝手な意味付けをして焦ってしまうことを知ると、落ち着いてくるそうです。
私たちの仕事でも、同じようなことがあります。
上司の言葉、数字の重圧、思わぬ出来事・・・外界の出来事にいつも心が乱され、焦ったり、不安になり、ついイライラとした気持ちで仕事をする。そうするといい仕事が出来ない。そして、また人のせいにし余計にイライラする。自分が不機嫌になるだけならいいのですが、その空気が周囲に広がり、周りの人も不機嫌になっていきます。
「自分の機嫌は自分でつくる」。周囲の影響に心をとらわれず、ご機嫌という心の状態を作り出すことは難しいことですが、いきいきと働く組織をつくっていく上でも、益々大切なスキルになってくるのではないでしょうか。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 03 月 08 日 10:27
自分に恥じない仕事
先日、何百年も前に建てられたお寺などの建築物などを修繕したり、建て直をする、宮大工の方のお話を読みました。古い建物は一度すべて解体し、傷んだ部分を直し、できるだけその古材を利用して建て直すのですが、解体してみると、外から見えない部分が見えてきて、当時、この建物を建てた大工さんの技術が見えてくるそうです。
外側から、見えないところにこそ手寧な仕事が施されているそのきめ細やかな技術を見ると、「自分に恥じない仕事をしよう」という当時の大工さんの心が伝わってくる、解体に携わった宮大工さんは、その当時の職人さんの誇りや仕事への姿勢に、とても感動されていました。
裏側の部分だから、もし手を抜いても誰も見ていない。怒られることはない。しかし、それでよしとするかどうか、決めるのは自分です。しかし、いちばん見ているのは自分。
もし、手を抜いてしまったら、その人はその建物を通る度に胸が痛くなるかもしれません。その前に立てなくなるかもしれません。
出来上がったお寺の前に立って、誇れる自分でいたい。きっと、それがその職人たちの想いだったのではないでしょうか。仕事の判断基準は、自分の「良心」です。
翻って今の自分の仕事はどうか。
本当はもう一度やり直した方がよいものができるのに、安易に妥協していないか。
早く納めることばかりに意識がいって、品質を下げていないか。
仕事の質は、追求すればするほど、さらに上が見えてきて、なかなか100点が見えてきません。
納期、予算、スピード、全体の生産性・・・いい仕事の前にはいろんな壁があり、どこかで妥協しなければならない。しかし、数百年前の大工さんの時代でも、もしかするといろんな制約があったのではないか。しかし、彼らは、その厳しい制約の中でも、自分に恥じない仕事をしようと闘っておられたに違いありません。
どこまでいい仕事をやり抜くか。自分の良心に誇れる仕事をしていきたいです。
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経営理念の浸透・共感
2022 年 03 月 01 日 16:15
お客様は「安い価格」を求めていない
「お客様は安い価格を求めているのではない、価格以上の価値を求めているのだ」
これはコンビニの父と言われる、セブンアンドアイ・ホールディングスの鈴木敏文さんの言葉です。
あたりまえのような言葉ですが、我々は安さに敏感です。だからつい、お客様も「安さ」を求めている、だから、価格を下げなければという感覚になってしまいます。この発想から、いろんな業界で価格競争が起こっています。
ガソリンスタンドの業界も価格競争がずっと続く厳しい業界です。今、ほとんどがセルフ業態。同じ機械、同じような店が価格を競い合っています。安いガソリンは確かに消費者は嬉しい。しかし、売り手は利益を削ることになります。やればやるほど人件費や無駄なサービスを削って利益を出さなければなりません。無人化、セルフ化・・・人を介在しない業態がどんどん広がっています。しかし、それもそろそろ到達点。どこも同じようなお店になり、消費者は違いがわかりません。だから、また価格競争が起こる。
今はまだガソリン車が走っているから成り立っていますが、カーボンニュートラルの時代の中で電気自動車や水素自動車が増えてくれば、給油する人は減り、もっと競争が激化する。どれぐらいの店が生き残れるのでしょうか。
先日、良い経営を勉強されているある地方のガソリンスタンドを訪問する機会がありました。そこは、従業員は3人だけ、経営者も前線で働いている小さなお店です。近くにはライバル店が何軒もある厳しい環境ですが、なぜか、お店にはひっきりなしにお客様が来店されていました。他店と同じセルフ型の店ですが、スタッフは洗車やオイル交換に忙しく働き、お客様が車を降りて、スタッフと会話する姿も見られます。
特別に価格が安い訳ではないこの店の人気の理由は何でしょうか?常連のお客様に「なぜ、この店を選んでいるのですか?」と理由を聞いてみると、こんな話をされました。
「もちろん安いお店はいろいろありますよ。でも、この店はスタッフがいい。気さくに話せるし、ちょっとしたことでも相談に乗ってくれる。どうせ給油するなら、気持ちいいスタッフがいるところで入れたいじゃないですか」
このお客様が求めていたのは、価格ではなくスタッフの対応の良さでした。もちろん世の中にこんなお客様は少ないのかもしれません。しかし、価格以上の価値を感じれば、お客様は来てくれる。
この店の社長は給油する車とお客様の顔を見ただけで、ほとんどのお客様の名前を覚えておられます。そして働くスタッフも車の知識が豊富で、お客様から頼りにされているようでした。
お客様は「安い価格」を求めているじゃない、「価格以上の価値」を求めている。
どの業界も同じことかもしれませんね。
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「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 02 月 24 日 14:08
ロコ・ソラーレに学ぶ心理的安全性の高いチーム
心理的安全性とは、上司や仲間に対して、率直に意見が言えたり、素朴な質問ができたり、いつでも誰でも気兼ねなく発言できるということです。これまでは「正解がわかっていた時代」。上のいうことを素直に実行していれば成果が上がった時代でしたが、誰も正解がわからないこれからの変化の時代には、いい成果を生み出すためにチーム内でメンバー意見を出し合い、創意工夫していく必要があるため、余計に、この心理的安全性が求められているだと言われています。さらに最近の調査研究では、心理的安全性の高いチームは収益性が高く、離職率も低いという結果も出ています。
心理的安全性が高いチームとはどんなチームなのか。北京オリンピックを見ていると、ある有名なチームの記事が目に留まりました。それは、銀メダルと獲ったカーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」です。前回のオリンピックもそうでしたが、みんなが笑顔でのびのびとプレーに向かっている様子は、多くの方が感動されたと思います。
でも、どうやったら、あのような大舞台で笑顔でいられるのか?私も不思議に思っていました。
その記事では、こんなことが書かれていました。
「ロコ・ソラーレの強さは、弱さをさらけ出せるところにある。」
このチームは、以前から「弱さの情報公開」を大事にしているそうです。サードの吉田知那美さんは、チームのことをこう説明します。「弱さの情報公開をする。お互い、余裕のある人がない人を助けていく」。
例えば、9月の北海道銀行との代表決定戦。連敗を喫して崖っぷちに追い込まれた後、スキップの藤澤五月さんは責任を背負い込んで、泣き崩れてしまいました。そんな時にチームメートはこんな風に声をかけます。
「それでいい」「緊張してもいい」「前日、寝られなくてもいい」
そうした声に藤澤さんは、自分のショットを取り戻し、3連勝で五輪最終予選へ駒を進めたそうです。「みんなが受け入れてくれるのがありがたい。かっこつけなくていい」。アイスの状況把握に苦しんだ最終予選。ロコはそれぞれが支え合い、夢の切符をつかんだのだそうです。
「弱さ」を出し合って、それを認めるチームの風土。だから、何でも言えるのでしょう。弱音も吐いていいとう空気だからこそ、安心して前に進めるのかもしれません。
カーリングの試合では選手同士のコミュニケーションが中継されますが、大事な局面、局面で、どうすればいいかをお互いが遠慮なく意見を出し合い、みんなで決め協力していく姿勢は、ビジネスのチームづくりでもお手本にしたいなと思いました。
そして、何よりも学びたいのが、プレーを楽しむ姿勢。結果を出そうとシリアスになるのではなく、自分らしく、カーリングを楽しもうとしているからこそ、素晴らしい力が出る。今回のオリンピックもそうでしたが、仕事でも何でも、やはり最後は、その競技や仕事を愛し、それを楽しむ人たちがよい成果を出していくのかもしれません。何でも言い合え、一人ひとりが自分らしく楽しく働ける組織。これが理想ですね。
余談ですが、藤澤選手は毎試合、自分手に、その日のメッセージを書くそうですが、スイス戦の時に次のようなメッセージを書いておられたそうです。
「BE SATSUKI ENJOY」(さつきらしく、楽しもう
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 02 月 15 日 14:03
他人(ひと)に好かれる人になる
顧客満足や社員満足の高い会社として全国に知られる美容室バグジーでは、新入社員は初任給をもらったら、これまで育ててもらった感謝をこめて親に何かをプレゼントをし、その体験をレポートに書いてくるという決まりがあります。初任給の中に親孝行の手当がついてくるなんて、なかなか他ではされていないのではないでしょうか。
新入社員は、どんなことをすれば、親が喜んでくれるかと思いを巡らし、親が喜んでくれるだろうモノを買ったり、食事に連れていったりするのですが、ある新人はこれまで父親と関係が悪く、何を買ってあげたらいいか悩んでいました。そこで母親に相談すると、お父さんは「安全靴がいいのでは」と言われました。その子はそれまで安全靴がどんなものかわからなかったのですが、そこで初めてつま先に指を保護する機能が付いた靴だと知り、その時、「お父さんは、こんな危険な場所で働いてくれていたんだ」と、親が苦労して自分を育てくれたことに感謝の気持ちが湧いてきて、涙があふれてきたそうです。
なぜ、バグジーでは、こんなことをされているのでしょうか。代表の久保社長は、とにかく社員一人ひとりが人生を豊かに幸せに送ってほしいと思っています。そして、幸せな人生を送るために最も大事なことは何かと考えていった時に、成功するには「他人(ひと)に好かれる人になること」だと気づきました。お客様との関係においても、社員同士の関係においても、また親と子供の関係でも、社会生活の中でも、他人から好かれる人はすべてが上手くいきます。成功者はみんな人から慕われ、人が集まってきている人です。
では、他人に好かれる人になるためにどうすればいいのか。久保社長はその中でいちばん大事なのが「感謝の心」だと言います。感謝できる人は、お客様からも先輩からも好かれます。感謝できる人は謙虚になり、自分をもっと向上させていこうと思います。しかし、感謝の気持ちはその人の内側からしか湧いてこないもの。「感謝が大事だよ」といくら言葉で教えても、なかなか身につくものではありません。だから、バグジーでは、こんな「親孝行の体験」を通して、気づいてほしいと思っておられるのです。
他人に好かれる人になる。これは松下幸之助さんなど数々の著名人が「心の師」とされている中村天風さんもそのことの重要性を説かれていますが、確かに、どんなに知識があって頭が良くても、他人から好かれない人は成功できないのでしょう。ビジネスだけでなく、社会で幸せになるために、最も大切なことかもしれません。そう考えると、新入社員の時から、こんな「心のあり方」を教えてもらったり、体験させてもらえるということは、本当に素晴らしいことですね。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 02 月 08 日 17:56
「いらっしゃいませ」に変わる言葉とは?
先日、ある老舗の小売業で働くある友人が、Facebookで「お客様に声をかける時に、“いらっしゃいませ”という言わない接客を考えていた」と書いておられました。「いらっしゃいませ!」というと、お客様と自分の間に境界線を引いてしまうような気がしてしまう。もっと良い挨拶や言葉はないかと、売り場の皆さんと話し合われたそうです。この投稿に限らず、この「いらっしゃいませ」の言葉の非是は、いろいろと話題になっているようです。
確かに、昔から、小売業では「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「かしこまりました」「恐れ入ります」「お待たせいたしました」などの大事な言葉を、接客8大用語として毎朝唱和をしたり、新人教育の中で教えています。どれも、商売をしていく上で大事な言葉ですし、しっかり徹底されているお店は、マナーも良いし、お客様の評価も高いと私も感じます。ただ、先ほどもご紹介したように、今、小売業で働く人の中には、これらの定番言葉に、違和感を覚える人もいます。昔は商人は客より一歩引いて、客を立てるという慣習がありました。しかし、お客様の数が少なくなり、ますますファンづくりが大事になっているこの時代、顧客との関係も変わっているはず。「接客用語」はこのままでいいのでしょうか。
私自身は、初めて入るお店で「いらっしゃいませ」と言われても、今はあまり違和感はありません。しかし、業種にもよりますが、何度も通っている店で、店員さんの名前もわかり、親しくさせてもらっているお店では、もしかすると、「いらっしゃいませ」ではない方が心地よいかもしれません。「〇〇さん、お久しぶりです。」「お元気でしたか?」という声がけのほうが、こちらも安心しますし、印象に残りそうです。
帰りの挨拶も、「ありがとうございました。」が定番ですが、親しい関係では少しよそよそしい感じもします。美容室など、行きつけのお店では、「気をつけてお帰りくださいね。」「お仕事頑張ってください」「いってらっしゃい」などと声をかけてもらえますが、その方が自然な気がします。
お店の業種やサービスの形態にもよるでしょうし、お客様との関係性によって変わるのかもしれませんが、確かにいつまでも「いらっしゃいませ」では、境界線は消えないのかもしれません。
ネットで何でも買える時代になってくると、きっとこれからは、もっとお客様と販売員さんの心の距離が近く、と売り手・買い手の関係を超えて、気軽に何でも相談できる人が求められていくように思います。お客様にどう声をかけていくかを考えるということは、お客様とどんな関係を築こうとしているのかということかもしれませんね。
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 02 月 01 日 14:13
見えないものの大切さ
昔から、「見えないものが大切」だと言われます。
年収、住居、所有しているもの・・・見えるもの
性格、命、心、幸せ、信念、情熱・・・見えないもの
会社という組織も同じかもしれません。数字に表せないものの方が大事な気がします。
例えば、組織の規模は人数や支店数で表すことができますが、その会社で働く人がどれだけ幸せを感じているか、働きがいを感じて楽しく働いているかなどは見えません。経営理念は言葉として見ることができますが、その理念への経営者がどれだけ情熱をもっているか、社員がどれだけ共感しているかまでは見えません。
会社という組織を考えた時に、働く人同士の「つながり」も、そんな目に見えない、大切なもののひとつではないでしょうか。人間にとっていちばん辛いのは、たくさんの人がいるのに誰からも相手にされなかったたり、無視されることだと思います。一緒に働いているのに一言も会話もない職場、相談する人も、心配する人もいない職場では、安心して働けません。
そうではなく、先輩が後輩を気にして声をかける。後輩も先輩のことを思いやる。同僚同士の間でも、お互いが関心を持ち、励ましあったり、心配したり、協力する。そんな「つながり」や「一体感」が増えていけば、メンタルがおかしくなることもないでしょうし、仕事のパフォーマンスも上がっていくに違いありません。
そんなことを考えている時に、先日、ある会社のイベントに参加させていただきました。その日は全社員が集まる勉強会があるのですが、みんな朝早くから、昼に食べるカレーの準備を行い、午前の勉強会が終わったら、みんなでそのカレーを食べ、また勉強会をするというプログラムです。
その作る工程が実に楽しそうでした。先輩も後輩も関係なく、みんなでカレーを作っていきます。冗談を言い合ってみたり、鍋奉行のような人が出てたり、みんなが和気あいあいと協力し合っています。そんな様子を拝見しながら、改めてこういう仕事以外の場が組織にとって大切だったんだなあと感じていました。
「見えないもの」は見ようとしないと見えないものだと思います。
冬の空は空気が澄んで星がきれいに見えますが、心に余裕ない人や関心がない人はただの夜空。
その人が大事だと思えば見えてくる。大事じゃないと思えば見えなくなる。
何を大事にしていくか。そこが問われているのかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 01 月 25 日 16:38
顧客感動の上には何がある?
「顧客満足」という概念は、1980年代にアメリカで言われ始めたそうです。だんだんと社会が豊かになり、モノが売れなくなってきて、それまでは生産者主導であった商品の質や方向をもっと顧客の要望を聞いて作った方が良いということから、この「顧客満足」という考え方が生まれました。
確かに、昔の製品は使い勝手が悪かったり、すぐに壊れてしまったり、「不満」もたくさんあったので「満足」させる商品はあっという間にヒットしたに違いありません。しかし、今の時代はどの企業もお客様の声を聞き、お客様の方向を向いて商売をされているので、以前より不満を感じることがありません。サービス業も同じで昔のような「嫌な応対」に合うことの方が稀。つまり、「満足すること」はあたりまえの世の中で、消費者にとっては幸せな時代、しかし、それ以上のものを生み出せないと差別化にならない、企業にとって本当に大変な時代になってきています。
良く言われるのは、満足の上は「感動」です。期待していたことよりも素晴らしい商品やサービスに出会った時に「感動」が生まれると言います。「こんなことまでしてくれるの?期待以上だ!」というのが感動。いいサービスを受けると嬉しくなります。多くの企業は、今、この感動をみんなが目指していこうとしているのですが、もし、どの会社もレベルが高まり、感動がまた当たり前になってしまうとどうなるのでしょうか。
感動の上。私は、利用するお客様が「感謝」しているお店や会社が目に浮かびます。例えば、もしお店だとすれば、そこは、いつ行っても、誰にでも皆が親切で、お客様である自分のことを大切にしてくれて、高い技術や知識でどんなことにも応えてくれる頼れる存在。そこを利用するお客様は、いつも料金以上のもの受け取っていると感じているので、嬉しいという気持ちより、むしろ「ありがたい」という気持ちになっている。
以前、川越胃腸病院を取材した時、インタビューするお客様のほとんどが、病院への感謝を口にされていましたが、満足や感動が積み重ねると感謝の気持ちが生まれてくるのではないでしょうか。
このようなレベルになると、絶対に他のところに行くはずがありません。まさに生涯顧客です。全員が足並みを揃えなければいけませんし、技術もサービスも高いレベルでなければいけませんし、人間力が高まっていなければ、こうはなりません。
なかなか難しいことではありますが、お店もお客様に感謝し、お客様も感謝するこんな関係は、素晴らしいなと思います。
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DOIT! お客様満足・感動の向上
2022 年 01 月 18 日 13:40
既にあるものに気づく
昨日、私も企画委員として運営側として参加している「ホワイト企業大賞」の表彰式と「ホワイト企業フェスタ2022」というイベントがあり、その中で、藤田一照さんというお坊さんのお話を聞く時間がありました。藤田さんはアメリカでフェイスブックやスターバックスなどの会社で座禅を指導する有名な方ですが、直接お話を聞くのは初めてでした。
藤田さんはこんなお話からはじめられました。
「私たちはつい、自分の外側に正解を求めてしまいがち。病気になれば医者に頼り、何か困れば専門家を頼る。しかし、実は自分の中にできることがたくさんある。出来ないことがあると、つい、自分に“足りないものがあるからだ”と考えてしまうが、それは自分を過小評価しすぎ。」
「自分の中に既にあるもの、既に持っているものがたくさんあるのに、外ばかり見ているから、それに気づかない。回光返照という言葉は、外に向かう光を自分にあて直すという意味。自分を知り、自分を信頼することが大事だ。」
自分には既に多くのものを持っていることを知る。自分をもっと信頼する。
頭では理解することはできるのですが、それだけではダメだそうです。それを理解するために、その後に座禅の指導を受けました。
ゆっくりと自分の足や身体に意識を向け、呼吸をしていると、入ってくる新鮮な空気を感じたり、自分を支える足や背骨の存在や大地の存在に気づいたり、空気を吸う身体を感じたり、そこに自分がいることを実感しました。体がホカホカし、だんだんと満ち足りた気分になっていきました。
私たちは穏やかに生きたいと思っていても、つい焦ったり、イライラしてしまいます。それは「まだ足りない」と思ってしまう癖から来ているのかもしれません。もっと、意識的に、自分の中にあるもの、既にもっているものに光を当ててみる必要があるのでしょう。
「企業も拡大を目指すのは足りないと感じるから。そうではなく、今あるもの、自分のリソースを信頼して全力で向かっていけば、自然と人が集まり、発展していくのではないでしょうか。小欲知足の経済は成り立つはず」と仰っておられましたが、そのお話を聞いて、業績を目標に置かず、お客様に喜ばれることを一生懸命に行う、これまで取材したいい会社のことが頭に浮かんできました。
拡大でない、充実や真の豊かさを取り戻す新しい時代がきているのかもしれません。
「ホワイト企業大賞」http://whitecompany.jp/
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 01 月 12 日 13:34
人生お一人様一回限り
人生をかけるだけの価値のある情熱をもって取り組める仕事。
そんな仕事に出会った人は、困難や苦労はあったとしても、毎日が充実感であふれ、きっと幸せな毎日を過ごしておられるのではないでしょうか。
15歳の時に、自分の人生をかける仕事に出会い、それ以来、死ぬまでひとつの仕事に情熱を傾け、真っ直ぐに生きてこられた方が、先日、交通事故で亡くなられてしまいました。
その人は、越智直正さん。
「靴下屋」「tabio」のブランドで有名なタビオの会長です。靴下一筋およそ70年。丁稚奉公から28歳で会社を興し、今では国内に300店、海外にもお店を出店するほどの企業に成長しています。
私どもも、以前、DOIT!シリーズで取材をさせていただきましたが、私はそれ以前からお付き合いがあり、どんな時も明るく、どんな時も一生懸命なお人柄に惹かれ、心の師として仰いでおりました。
越智会長の人生は、本物のいい靴下を作り、お客様に喜んでもらう。この一点にありました。海外の安い靴下に日本の靴下産業は衰退していく中で、「業界の良心たれ」「良品を適正価格で」「正義とともに発展する」という理想を掲げ、本物の靴下を世の中に広げてこられた方です。
越智さん曰く、良い靴下というのは、履いた時にわかるそうです。靴下を履いているとその感覚が残ってしまう。だから、越智さんは毎日裸足で、サンダル履きで暮らし、出来上がった靴下を自分の皮膚感覚で試し続けておられました。また、いい靴下は「噛んでみたらわかる」とも言われていました。新品の靴下にそっと歯を当て、しばらく噛み続ける。そして、離した時に歯型が残らず、復元してくるのが良い靴下だと教えていただきました。
裸足でサンダル履きの経営者が、靴下を噛んでいる様子をみて、最初はびっくりしましたが、越智さんにとっては、他人にどう映ろうが関係ないことで、とにかくいい靴下を作りたいという思いを持ち続けた方でした。
DOIT!の取材の時に、「しかし、何年やっても、これや!っていう、いい靴下はできんのですわ。だからこんなわしでも何十年も続けてこられたんだ思います。」と言われたましたが、「これでもか」「これでもか」と自分の理想に向かってチャレンジし続ける越智会長の生き様は本当にまぶしく、私の憧れになりました。
「あんた、そんなところで止まっていてええんか?」。
そんな言葉は実際にはいただいていませんが、何か自分が悩んでいる時に、いつも越智さんから言われているような気がしていました。
越智会長は、以前、講演でこんなことを言われたそうです。
「わしが死んだとき、火葬場で何も残らんと思う。毎日完全燃焼しているから」
まさに、そんな人生を送ってくられた方でした。
「人生お一人様一回限り。情熱をもって生きよ」
越智さんからいただいたこの言葉をかみしめながら、自分も仕事に全力投球していきたいと思います。
思いがけない事故。本当に悔しい思いでいっぱいです。謹んでお悔やみ申し上げます。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 01 月 06 日 14:17
新しいことに挑戦する年
新年、明けましておめでとうございます。
旧年中はひとかたならぬ御高配にあずかり厚く御礼申し上げます。
本年も皆さまのお役に立てるよう、精一杯努力して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。
さて、今年は、寅年です。
「寅」とは、方角においては東北東、時刻では午前3〜5時を指す漢字です。寅とは、すなわち動物の「虎」を表しています。虎というと、大きな身体と鋭い牙、勇敢さや力強さを感じる動物です。
では寅年とはどのような年なのでしょうか?過去の寅年には、バブル経済の始まりや、人類初の有人衛星が達成されたり、世界初の女性宇宙飛行士が誕生したり、寅年には、「初」や「真」という文字がつくような出来事が多くあったと言われています。つまり、寅年は新しいものが生まれる年。今年も、新しい何かが始まるかもしれませんし、新しいことに挑戦する人にとっては、最高の一年になると思います。
また、2022年は、60年周期で訪れる「壬寅(みずのえとら)」にあたる年とされています。「壬(みずのえ)」とは、ゆったりカーブを描きながら流れる大河を表しています。
加えて「決断」の意をもつ「寅」が合わさった2022年は、安定性や落ち着きをもちながらも、はっきりと決断できる年と言われています。つまり、心にゆとりをもち、おおらかに物事を見定めることができる一年になるそうです。
コロナがどうなるか、まだまだ予断は許しませんが、ますます誰も正解がわからない時代になっていくことは間違いありません。
そんな時こそ、お客様の心に寄り添い、お客様の期待を超える商品やサービスを生み出していかなければなりません。失敗を恐れずに、挑戦していく企業だけが生き残っていく時代なのだと思います。
そんな時代の中で、私たちブロックスも、虎のような勇敢な心で挑戦を続け、お客様に喜ばれ、愛され続ける企業を目指してまいります。
今年も、本メルマガを始め、ブロックスの商品、セミナーをよろしくお願いいたします。
(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)
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BLOCKS 思うこと