2024 年 11 月 19 日 16:39
競い合うチーム、助け合うチーム
先日、全国でもトップクラスの成績を挙げる営業スタッフを、何年も続けて輩出する、ある組織の地方の営業チームを取材させていただきました。都心部でもなく、なぜ、そんなに優秀な人が生まれるのかと伺っていくと、その理由はこのチームが昔から大切にしてきた文化が影響しているようでした。
そのチーム(支店)には、昔から「お互いを助け合う精神」があって、40名以上いる営業メンバーは常にお互いの状況を開示し合い、もし、メンバーの中に困っている仲間がいれば、エリアを超えて助け合っていきます。成績が芳しくない仲間がいると聞けば、リーダーやトレーナーが声をかけ、すぐに助けにいく。入ったばかりの新人には優秀スタッフがべったりと張り付き、惜しみなくノウハウを教える。そんな日常の中で、常に成績の良い人が育ち続け、何年にもわたってチーム全体で好業績を出し続けているということでした。昔は、営業は個人で頑張るもの。社内であってもお互いがライバル。仲間にもノウハウを隠す人もいました。自分の成績だけが一番の関心事で他人のことなど関係ないという空気もありました。しかし、世の中がこれだけ変化していく時代の中では、個人主義だけでは全体の成績も出せず、お互いが良い情報を共有する「助け合うチーム」でなければ良い成果が出なくなっているのかもしれません。
「助け合うチーム」は社員のやる気にも影響します。日本能率協会が実施した「働く人の満足度やモチベーション調査」でも、所属しているチームの雰囲気が働く人のやる気に影響することが報告されています。その調査で「現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか」という質問で「満足」と回答されたビジネスマンは約半数強。満足の理由として一番多く上がったのが、「困ったときに助け合いができているから」という回答(40%)でした。日本人が求める理想のチームは「困った時に助け合うチーム」そして「良好な人間関係ができているチーム」であると結論づけていました。
しかし、そうした助け合うチームはどうすれば出来るのか。先ほど紹介したチームの方に伺うと、その会社には、昔から「仲間は絶対に見捨てない」という精神が脈々と流れていると感じておられました。昔、自分が苦しかった時に先輩が助けてくれた。その喜びを知っているからこそ後輩に伝えていく。そんなDNAが「助け合い」の風土を作っているようです。
「大家族主義」「チーム営業」など言葉は違えど、いい組織、いい会社はやはり仲間を大切にされています。農耕民族は競い合うことより、助け合ってきましたが、「助け合い」は、日本人にいちばん合っているのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 10 月 30 日 14:06
言える化と聞ける化
「社長、それ間違っていませんか」。先日、ある会社の社員さんに会社のことを伺っていると、その会社では、例え相手が社長であろうと、もし自分が違うと思ったら、「それ間違っていませんか」と意見を言っていいという空気があると言われていました。社長のめざす理念に共感して働いているからこそ、例え社長であっても理念からブレているような言動があれば意見を言う。そんな風土があるそうです。その会社は、常に業界に先駆けて新しいことに挑戦し、長期に渡って成長し続けていますが、そうした「意見が言いやすい風土」が根底にあるからこそ、どんどん新しいことが生まれているのかもしれません。
この話を伺って思い出したのが、あの「ガリガリ君」で有名な赤城乳業さんです。同社には昔から意見が言いやすい風土があり、上司に気兼ねなくみんなが意見を言い合いながら働いているそうです。新人であろうが自分は違うと思えば言う。役員に若手が意見を言うのは日常のことだそうです。そうした風土の中で、新商品が生まれ、業績は右肩上がりに推移しています。
そんな風土の原点にあるのが「言える化」という言葉です。昔から創業者の考え方の中に「社員たちが立場や役割を越え、自由になんでも言えることが組織の活性化につながり、ひとりひとりの持つ能力を最大限に引き出す道だ」という思いがあり、それを表しているのものが「言える化」という言葉です。
「言える化」というのは実際にかなり実現は難しいはず。世の中の企業は「言えない化」がほとんどです。上司や社長に意見を言うのは気が引けます。逆に上司の側も経験があればあるほど、若い人の意見を排除しがちになります。「言える化」を実現するには、上司の側がしっかり耳を傾けようとする意思や、どんな意見にも腹を立てずに聞き切る胆力がなければ、なかなか実現できません。「聞ける化」があっての「言える化」。赤城乳業の役員や役職者の人たちは「聞ける化」を大事にしながら、誰でも発言しやすい文化を作ってこられと伺いました。
いずれにしても誰もが「自分の意見」を言える、言うというのは主体的に働いていく上で重要なこと。アイディアを出し合ってイノベーションを起こしていくためにも、働きがいのある会社づくりのためにも「言える化」がますます大事になっていくような気がします。
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働きがい・やりがいの向上 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 07 月 31 日 12:10
手間をおしまない
先日、顧客満足度の高いある住宅会社が行う、お客様に新築物件をお渡しする前の点検活動の様子を映像で拝見しました。お客様にとって人生でいちばん高い買い物。それを建てた責任として、不具合箇所がないか、床についた小さな傷も見逃さまいと、社員が這いつくばって点検をする。お客様に喜んでほしいと、丁寧に点検される姿にこの会社の姿勢が伝わってくるようでした。
こうした手間ひまかける対応を見ていると、顧客満足度日本一のレクサス星が丘のお店のスタッフが、お客様に出すお茶を入れる際に、お茶を蒸らす時間を秒単位で決めたり、車の誘導の際に、運転席から案内が見やすい角度を研究し、マニュアル化されていることを思い出します。
効率化、省力化と向かう世の中で、こうした手間はコストもかかり、逆行することなのかもしれませんが、やはり「手間」をかけることは、必ずお客様の満足につながっていく。飲食店における料理の仕込みもそうかもしれません。開店前の掃除やお店の飾り付けも同じかもしれません。手抜きの仕事に満足は生まれません。お客様のための「手間」は、きっと相手の心に伝わっていく。高い買い物ならなおさらです。
ただ、私たちは仕事に慣れてくると、つい、手間を省こうとしたり、こなすように仕事をしてしまう時があります。慣れるということは良いことである一方、毎日同じことを繰り返していくと、つい、これまで一生懸命やっていたことが面倒になる。自分自身が飽きてしまう。「慣れ」や「飽き」から手抜きが始まります。しかし、お客様はそうした姿勢を見逃さない。せっかく買いものをしても、そこで流れ作業のような対応をされれば、きっと心の中で「もう、この店は来ない」と思われてしまうのではないでしょうか。
あのディズニーランドでは、こんな「慣れ」や「飽き」の気持ちを戒めるために、「毎日が初演」という言葉があるそうです。初めてステージに立つ時に感じた緊張感、全力でやりきろうとする姿勢、お客様に喜ばれた時の感動。確かに、初めての仕事は誰も手抜きをしませんし、手間をかけたことに喜びや手ごたえを感じるもの。ディズニーランドが40年にもわたって顧客を魅了するのは、こうした姿勢の積み重ねかもしれません。
手間を大切にする。手間をおしまない。顧客にとっても働く人にとっても大切な姿勢のような気がします。
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いきいき働くための仕事の姿勢 お客様満足・感動の向上 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 05 月 27 日 16:25
ファンを生み続ける理念
東京ディズニーランドが出来て今年で、41年目になるそうですが、創業当時からファンを増やし続け、素晴らしい事業を展開されています。各地に様々なアミューズメント施設が生まれる中で、なぜ、ディズニーランドが成長し続けられたのか。先日、ディズニーランドで長く働く方から、現場から見たファン創造の理由を、直接伺う機会がありました。
ファンを魅了し続ける理由は、常に新しいアトラクションやショーを提供し続けることだと言われることもありますが、その方は、それもあるが、やはり、パークで働くキャストたちのおもてなしの気持ちが、「また行きたい」という気持ちにつながっている、と言われていました。
確かに、乗り物を提供しているだけでは、あのような世界は作り出せないでしょう。ディズニーは当初から、スタッフは従業員ではなく、映画の中にいるキャストであって、映画の世界に来るゲストに幸せになってもらうことが使命であるという教育を徹底されています。
清掃スタッフには、「あなたの仕事は掃除」ではなく、「ハピネスを創造する」のが仕事だと教える。ただ清掃するなら効率よくやればいい。しかし、あえてゲストと会話をしたり、楽しませることをやろうとするのがディズニーのスタッフ。マニュアル通りではなく、その人に合わせて自分の行動を考える。すべてのスタッフが、いかに喜んでもらえるか、いかに楽しんでもらえるかを考え続けているからこそ、あの雰囲気が生まれています。ウォルト・ディズニーさんが創業時に描いた「青空をバックにした大きなステージで3次元の映画を全員で作り出していく」という思想が未だに根付いているようです。
ディズニーは、キャストに、自分で考え、主体的に行動しようと伝えていますが、ただ、何もかも自由でよいということではないようです。その行動が常に理念「ハピネスの創造」につながっていることが求めらるそうです。
例えば、ショーのダンスのスタッフは、練習を重ねたプロ。その気になれば、難易度の高いダンスができる人ばかりだそうです。しかし、決してそういうダンスはしない。ディズニーがめざしているのは、家族が楽しめるファミリーエンターテインメント。だから、ダンスは、ゲストが一緒に踊れるような平易なダンスであるべきだと話し合い、あえて簡単なダンスにしているのだとか。平易なダンスにはショーで事故がないようにという意味もあるそうですが、とにかく「ハピネスの創造」への想いが全員に浸透しているようです。
理念という枠の中で自由に考え、自由に行動する。そのハピネスの創造の行為が、お客様を幸せにし、それを見た自分のハピネスに戻ってくる。理念を実感するために、トレーナーは、キャストにゲストの顔をよく観察してみるようにというように伝えているそうです。
40年変わらずファンが生まれる背景にある理念に対する強いこだわり。それが顧客に伝わり、「また行きたい」という気持ちをつくる。理念へのぶれない思いが、永続的な成長の原動力であることは、どの企業も同じかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 05 月 20 日 15:33
伸び続ける組織の共通点
先日、ある全国組織の中で、成績優秀な組織を表彰する式典に参加する機会がありました。この業界は、構造的な問題や少子高齢化の逆風を受け、業界全体の業績が下がり続ける中で、3つの組織が昨年に引き続き成績を上げ続けられ、今年度も最優秀組織として表彰台に上がっておられました。
扱う商品は全国同じ、その地域だけが特別景気が良い訳でもない。特別な支援がある訳でもなく、やっている施策は同じ。同じ風を受けながら、なぜ、その組織だけが継続的に成績が良いだろうと、その取り組みの発表を聞いていると、その3つの組織に共通点を感じることがありました。
ひとつは、販売の姿勢。やり方はどの組織も同じように見えるのですが、その3つの組織はその根底に「徹底的にお客様に寄り添おう」という姿勢を持っておられます。成果を出そうと無理な販売はしない。その代わりにお客様のことを親身に考え、話を聞く。そうした活動を続けることでお客様が、その組織を「私の頼りになる身近な存在」として認識されるようになり、今、いろんな相談をされる関係になっているそうです。売ろうと急がないことが、結果として売れるようになっている。そんな共通点がありました。
そして、もうひとつの共通点が、働きがいのある組織づくりに長年取り組んでこられていること。意見が言いやすい職場をつくる、主体的に働ける環境をつくるなど、社員がいきいき働ける職場にしようと、長い年月をかけて取り組み続けておられました。ある年だけ業績が良いということではなく、ずっと業績が良いというのは、やはり、こうした土台がしっかりとしているからでしょうか。3つの組織のトップは、やはりCS・ESの向上が大事だと、同じ言葉を語られていました。
今やCSもESも市民権を得ていますが、昔は、そんなことよりも業績だ、もっと販売をしてこいという時代でした。顧客の声を聞く、寄り添う活動など、そんなことをして売れる訳がないとバカにされていたこともあったはず。社員の働きがいなども見向きもされない時もありました。そんな風潮の中で、すぐに結果に結びつかない活動をするというのは、そう簡単ではなかったはず。しかし、そこを信じて続けることで、ようやく今、成果が出るようなる。ブレずに続けていくことが何よりも大事なことなだと感じる発表でした。
よい土の中で、よい作物が育っていくように、例え、遠回りでも良い土壌をつくる。良い結果は急いで得るものではないのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 05 月 07 日 17:06
「つながり」の力
先日、4年ぶりに全社員で社員旅行に行ってきました。
普段は忙しい仕事の中でなかなかゆっくりと過ごすことができない仲間が集まって、一緒に過ごす。参加した社員も口々に行けて良かったと言っていましたが、精神的も物理的にも、仕事から離れて、職場の仲間と接する機会は、普段、あまり会話がない社員同士の交流のきっかけになり、いつも同じ職場で働いてもの同士にとっても、日頃話さないことが話題になったり、同じ体験をすることで、いいコミュニケーションの場になったようです。最近は、いろんな打ち合わせがオンラインになって、なかなか人と会う機会がなくなってきましたが、改めて、こういう場の大切さを感じた時間でした。
しかし、社員旅行を実施する企業は年々少なくなっているようです。実施しようとしても、行きたくないという人も増えているのかもしれません。ただ、改めて、こうした場を体験すると、こうした一見無駄と思えるような場、業務にまったく関係のない時間というものは、組織には大切な気がします。
こうした社員旅行が、組織にどのような影響を与えるのかわかりませんが、お互いがわかりあっていない組織より、お互いが親密で仲が良い組織の方が、よい結果が生まれるというのは感覚でわかります。
幸福学の研究者の報告でも、人と人の良好な人間関係、つまり「つながり」は、個人の幸福感と強く関係があると言われています。仲が良い仲間がいると精神的な負荷が高い状況でも、人は前向きな気持ちでいることができる。良いつながりは、精神的な安心を与えてくれます。また、別の研究では、必要な時に手助けや励ましをしてくれる親密な関係がある時は、個人の新たな挑戦や発見、成長を促すことが指摘されているそうです。確かに、自分の傍に、相談に乗ってくれる仲間や励ましてくれる仲間がいると、失敗しても大丈夫、やってみようという気になります。地域社会でも、災害の時に大事になるのが、近隣同士の「つながり」だと言われていますが、人間にとって、良好な人間関係は生きていく上で不可欠な要素なのでしょうか。
時間を短縮する、無駄を省くという風潮の中で、いろんなことが取りやめになったり、なくなってきましたが、もしかすると、私たちは大事なものを失っているのかもしれません。
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BLOCKS 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 04 月 24 日 16:12
失敗を恐れない環境
失敗を恐れるな。若い人にこのような言葉をかけることがあります。
自分自身も、挑戦や失敗から大事なことを学び、成長してきたからこそ、失敗を恐れずにやってほしいと思う。そう感じている先輩はたくさんいます。そして、会社においても、働く人が失敗を恐れて挑戦しなくなれば、発展も成長もない。失敗を恐れず挑戦していくことは、個人にとっても組織にとっても大切です。
だから、失敗を恐れずに行動していこう。これは誰もが理屈ではわかります。しかし、いざ、行動しようと思うとつい恐れが出てきてしまう。失敗したらどうしよう、いろんな人に迷惑をかけたらどうしよう。頭でわかっていても、なかなか行動に移せない。迷惑をかけてしまうくらいならやらないでおこうと、失敗への怖さや面倒臭さが、つい、やらない理由を作ってしまいます。失敗を恐れるなという背景には、失敗を恐れてしまう理由がある気がします。
失敗が怖くない、失敗を恐れなくなる環境とは、どのような場所なのでしょうか?
そもそもの話ですが、人が挑戦しようとする気持ちの中には、その人が「これはどうしてもやりたい」というものがあるはずです。自分の中で「どうしてもやってみたい」という気持ちが強くなれば、人に言われなくても、挑戦するはず。先輩の「失敗を恐れるな」という言葉の前には、「君がやりたいなら」という言葉がついているはずです。やりたいこと、こうしていきたいという気持ちがなければ、そもそも、意味がありません。
しかし、そんな気持ちを持っていたとしても、実際に挑戦しようとする時は不安になる。その中で、「何かあっても、私たちがいるからやってみたら」と背中を押してくれる環境であれば、不安は少なくなるはず。失敗の恐れがなくなるには、仲間の存在は大事。協力してくれる人がいる、いないは大きな差だと思います。
原点にやりたいという意思があること、そして、その意思を応援してくれる仲間がいることが、失敗を恐れなくなる環境と言えるかもしれません。失敗を恐れずに挑戦できる職場とは、同じゴールを目指している仲間がいる職場とも言えるかもしれません。
自分のやりたいことと会社の方向性が一致している場所。みんなが同じ目的に向かって進んでいると同じ仲間だと思える場所。同じゴールを目指す仲間だからこそ、仲間のチャレンジも応援したくなります。
そう考えると、リーダーの仕事は、単に「失敗を恐れるな」と正論を述べることではなく、失敗が怖くなくなる場所、理念に共感する同じ思いを持って働く仲間がいる環境をつくっていくことなのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 04 月 10 日 16:00
寄り添う力
世の中にはいろいろな営業があります。どのような業界であっても、最後に成果を出し続けられる営業とは、お客様から好かれる人。どんな時も、お客様の気持ちに寄り添ってくれる人ではないでしょうか。
昔、日本一ベンツを売ると言われる人の話を伺ったことがありますが、その人は、もしもお客様がベンツ以外の車を欲しがっておられる時は、たとえ自分の利益にならなくても、一緒にその車を探して他ブランドの営業を紹介する。売り手が不利になる情報でも、それがお客様の為になるならば、しっかりとそれをお伝えする。お客様の立場にたって考え、行動するからこそ、信頼され、日本一の販売を続けておられるそうです。
「寄り添う」という言葉の本来の意味は、物に身体を寄せる行為のことをいうそうですが、私たちが日常的に使う「寄り添う」とは、相手の心に寄り添う、気持ちを理解するというようなことだと思います。
もちろん、電話をすればすぐに駆け付けてくれるという物理的なスピードも大切だと思いますが、「この人は自分のことをわかっていてくれる、自分の気持ちをいつも優先して考えてくれる」と思える人の存在は、やはり信頼と呼べます。
私もいつも寄り添ってくれる営業さんを知っています。そんな寄り添える人には共通点を感じます。
寄り添える人というのは、やはり、まず人の話を聞く。根底に「人の役立ちたい」という思いがあるから、聞こうという姿勢を感じます。悩みがあったり、辛い経験をしたときに、とにかく「誰かに話を聞いてほしい」と思いますが、冷静なアドバイスより、とにかく、話を聞いてくれるだけでもうれしいものです。
また、寄り添える人は、相手が望んでいることに応えようとしてくれます。日本一ベンツを売る人もそうですが、そういう人は、「この人のために自分は何ができるだろう」と考える。もちろん、できないこともあり、すべてに応えることはできないですが、結果として応えられなくても、そうやって考えてくれるだけで嬉しい。
その人が何を望んでいるのかを考え、できる範囲で協力する。寄り添うということの中には、こんな姿勢も含まれているような気がします。
信頼は、簡単に築けるものではないですが、確実に言えるのは、やはり、信頼は、こうしたひとつひとつの商談の中の小さな言動の中で生まれてくる。こんな積み重ねが「何かあればあの人に相談しよう」ということになる。成果を出し続ける営業ほど、寄り添い力が高いのかもしれません。
「真に優秀な人というのは、優しさに秀でた人である。」
以前、優秀の言葉の定義を、こんな風な解釈で話してくれた方がいます。単に仕事が早いとか、ミスなくできるとか、的確に仕事をすることが優秀な人ではなく、優しさや思いやりにあふれている人が優秀な人。
人口減少の中で顧客からの信頼が企業の長期的な発展の基盤になるとすれば「寄り添える力」がますます大事になってくるのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 04 月 02 日 14:05
息づく行動指針
「こんな場合は何をすればいいのか。」
「どちらを選べばよいのか。」
仕事をしていく上では、様々な判断が求められますが、そうした時の指針となるのが行動指針です。
会社が掲げるミッションやビジョンを実現していくために、こういう行動を大切にしていこうと、どの組織にもある判断軸。言葉として明文化されている会社もあれば、言葉になっていなくても、先輩の行動が伝承されたり、文化として伝わっている会社もあると思います。
以前、ある会社を訪問した時、訪問の趣旨を伝え、受付で待っている時のことです。受付の前を通る社員の人が待っている私の様子をみて、口々に「ご用件はお伺いしていますか?何かお困りのことはございませんか」と声をかけてくださる会社がありました。
きっと、その会社には、昔から、誰が困っていたら自分から解決しようというような精神があり、文化として受け継がれているのでしょう。マニュアル的ではなく、気遣いをしてくれているという感じがしていましたので、この会社では、受付のお客様だけでなく、仕事の場面でも、こうした行動をされているはず。行動指針が組織の中に息づいているというのはこういうことなのかと感動したことがあります。
「あの会社は、誰にあたってもいいね」と評価される会社がありますが、働く人たちの判断軸が揃っていると顧客からの信頼感も高まっていくはずです。
判断軸が揃う。例えば、顧客との対応の時に、ある人は面倒だからやめておこうと判断し、ある人は、面倒だけどやろうと判断する。組織の中に、お客様に喜ばれることを優先するという指針が浸透していれば、みんなが前者の判断になり、浸透していなければ、個々に違う対応となる。ひとつの行動としてみれば、ちょっとの差なのかもしれませんが、もし、組織の中でどの人もどの人も、面倒なことを優先して動いてくれたとすれば、それは顧客にとって大きな感動になるはず。「あの会社はみんながいい対応をしてくれる」という評価は、組織としての最高の誉め言葉です。理念が浸透するということは、働く人の「判断軸」が揃っていくことなのかもしれません。
ただ、行動指針はどうやって伝えていけばいいのか。判断軸はどうやって人に伝えられるのか。
言葉を作り、掲げておけば伝わるのかというと、そう簡単なことではないはず。会社がこうした行動をしようと言ったところで、実際の先輩たちの行動が違っていれば後輩には伝わる訳はありません。先輩にしても、上司や幹部が実践していなければ、「こんなのはお題目だ」と思うに違いありません。
行動指針は、言葉だけでは伝わらない。上から良い背中を見せていく。行動指針が浸透するというのは、こういう実践の積み重ねなのかもしれません。
新人が入社するこの季節。先輩として後輩にどんな背中を見せていくか、問われるところです。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 03 月 05 日 15:10
変わらないために、変わり続ける
人口減少が進む地方都市。お客様が減り続けるだけでなく、働き手も少なくなり、商売を続けていくことが以前より難しくなっています。廃業を迫られる店も多く、今後の経営のあるべき姿を模索するお店は少なくありません。そんな時代の中でどうやって業績を伸ばしていけるのか。先日、ある地方都市の元気な化粧品専門店を訪問させていただきました。
化粧品。昭和の時代は、商店街の専門店や百貨店の化粧品売り場が花形。高級化粧品をカウンセリング販売で売るという商売でした。しかし、そんな接客が嫌だ。手軽に買いたいというニーズが高くなるにつれ、駅に隣接するショッピングセンターのお店やドラッグストア、またネットでの購買が増え、平成、令和の時代になると、地方の化粧品専門店は衰退の一途をたどります。取材したそのお店も例外ではなく、店の周りの商店街は寂れる一方、人通りもほとんどない状態で、10年前はなかなか業績が伸びずにいたそうです。そこに、外で修行をしていた長男が戻り、3代目として経営に参加するようになります。そこから10年。2店舗だったお店は今5店舗にも拡大し、業績は大きく回復したそうです。
若い経営者が取り組んだことは、親の商売の良い面を活かし、お店の特徴を発揮していくこと。昔からカウンセリングが得意な本店は、さらにそこに磨きをかける。沢山あった商品を高級品ひとつに絞りこみ、お客様がゆっくりと過ごせるラウンジスタイルのお店に。ショッピングセンターにある2号店は、接客されず気軽に買いたいという若い客層のニーズも取り込みながら、お肌の悩みに応える相談の場も作り、幅広いファンに応えるお店に変える。得意を活かしながらも、変化に合わせてお店を変化させていきました。
「商売は変化に対応しろ」というと昔から言われ続けていること。教科書にも出てきます。しかし、保守的な地域都市では、新しい挑戦することはなかなかできないことだとも聞きます。「変えよう」という息子と「変えたくない」という親子の確執も時々聞かれます。
しかし、この化粧品専門店はスムーズに変えることができたそうです。なぜ出来たのか。80歳になる経営者の奥様に伺いました。その答えは、「自分の時代も、やはり、時代に合わせた変化に挑戦してきたからだろう」ということでした。昭和の時代も、「お客様を何よりも大事にする」という創業者の教えは大切に守ってきた。しかし、それだけでは商売は続かないのも痛感し、時代の変化、お客様のニーズに合わせて商品や売り方は柔軟に変えてきた。自分たちが挑戦を続けてきたから、息子の気持ちがわかると言われました。
このお話を聞いて、創業何百年続く「虎屋」さんの経営も同じ思想があるということを思い出しましたが、「老舗企業」というと、一見すると古いものだけを大切にする保守的な経営に見えますが、「変化に対して変えるべきことは果敢に変えていく」というDNAも大事にする。「変わらないものを大切にしていきたいからこそ、変わり続ける」。これからの時代にいちばん大事な姿勢のような気がします。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 10 月 03 日 17:22
空気の影響力
いい会社を訪問すると「良い空気」を感じます。
士気が高い、みんなが笑顔、助け合って働いている。活気があり、いきいきとした空気があります。
「空気」というのは、人の心が作り出す全体的を包む雰囲気。日本人は、この空気に左右されやすいと言いますが、私たちは、何となくその場の空気につい影響を受けてしまいます。
例えば、野球。終盤に大きな点差になるとベンチが「負けムード」になる。そうなると、今まで声を出していた選手が声を出さなくなり、やる気も下がる。いつもなら出ないようなミスが出たりする。
会社の会議でも、上司が一方的に話をしている時は、何か反対意見を言いにくい空気が生まれます。おかしいなと思っても、みんな黙ってしまう。
しかし、野球でも、ヒットが続き、「やれるぞ」という空気になると、昨日打てなかった人がヒットを打つ。勝ちムードになると作戦も上手くいくことがあります。
会議でも、みんなが笑顔で、意見をどんどん発言するような空気の時は、新人も何となく自分も意見を言わなくてはと思い、発言する。上司が笑顔でいるだけで、反対意見を言ってもいいという気になる時もある。「空気」は、悪い方向にも影響していくし、良い方向にも影響します。
しかし、「空気」は見えないし、科学的に解決するものでもなく、なかなか手が出しにくい。ただ、組織の空気が悪いと、社員の士気は下がり、仕事も停滞する。挑戦も生まれないし、長く続くと息苦しくなることもあり、空気が社員満足に影響することもあります。「こうしたらもっと良くなる」と、もしもいいアイディアを持っていても、言い出しにくい空気では意見を出しにくい。先輩に相談しても、ムスッとされると意見を言うのも嫌になる。みんながそんな空気になっている時に、やる気など出るはずがない。
では、どうすれば、「良い空気」をつくれるか。やはり、いい空気も悪い空気も、作っていくのはその場のリーダーなのだろうと思います。しかし、負けムードの時に、一人の選手が声を出し始めて、一気に空気が変わることもあるように、リーダー以外の人であっても、空気を変えることできるのかもしれません。あえて空気を読まない人が空気を変える時もあります。
職場の「空気」とは、つまり組織風土。良い「空気」が社員のやる気を高め、満足につながっていくとすれば、「よい空気」をつくっていくことがいちばん大事なのかもしれません。
あなたの職場は、今、どのような空気ですか。
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素晴らしい会社 素晴らしい組織風土づくり
2023 年 09 月 21 日 10:22
公私が混ざる職場
いきいきと働く職場づくりを考える上で、メンバー同士の協力関係は欠かせません。
以前、社員満足度の高いネッツトヨタ南国の職場で働く人に「この職場のどんなところがいいですか?」とインタビューをした時、ある女性スタッフが「ここのメンバーはみんな協力体制ができているんです。私は子育てをしながら働いているのですが、今日も子どもが急に熱を出ししていまい、病院に連れていかなければならなくなったんですが、みんなが私の仕事を助けてくれるんです。このメンバーじゃなかったら、今の私はいないと思います」と話してくださったことがあります。
困った時に助けてくれる人がいる。応援してくれる人が傍にいる。仕事の悩みはもちろん、家族の悩みまで相談できる職場。そんな職場だからこそ、人は思い切って働けるのだと思います。
子育てをしながら働く、病気の親の面倒を見ながら働く。多くの人がいろんな事情を抱えながら働いていると思います。私自身も少し前まで認知症になってしまった親の面倒を見ていましたが、仕事と親の世話の両立は大変でした。仕事と私生活は分けるべきだという意見もあるかもしれませんが、家庭に問題があれば仕事中も気になりますし、家庭のことをしている時でも仕事のことは気になってしまう。私生活と仕事を分けるのは無理なことではないでしょうか。
お互いにいろんなことが相談できる。いろいろな家庭の事情を気軽に話ができて、職場の仲間がその人の事情を考えメンバー同士で相談しながら、最適な仕事をする。家庭の事情を職場に持ち込むなではなく、もっと家庭の事情を持ち込んでいく方が、全体としての効率が上がっていくのかもしれません。今、うちの会社にも、病気の子供を抱えながら、小さな子供の面倒をみながら働く社員がいますが、みんながその事情を察し、助け合って働くことで良いチームワークが生まれています。
公私混同という言葉は良くない意味で使われることがありますが、良い意味もあるのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 09 月 12 日 15:29
「小さな不満」に向かう企業
顧客に見えることが、企業が見えないことがあります。
自分も顧客として体験したことがありますが、例えば、忙しすぎるお店に行った時、ぞんざいに扱われてしまったりする。忙しい時間だからしょうがない、と納得はするものの、少し嫌な気がします。また、例えば通販で購入した商品に小さな傷がついていることに気づく。性能上は問題がないから、「まあいいか」と使うことにする。日常生活の中で、些細な「嫌なこと」に出会うことが時々あります。
きっと、どの企業でも、企業が気付かないうちにお客様に「嫌なこと」をしてしまっていることがあるはず。
でも、こうした見えない不満を活かすこともできる。そんな企業のひとつがユニクロ。昔の話になりますが、創業間もないユニクロが、新聞一面に「ユニクロの悪口を言って100万円」という広告を出したところ約1万通の応募があり、実際に100万円を支払ったという有名な話があります。より良い商品をつくるために、あえてお客様の不満を集めたことで、何を改善すれば良いかがわかり、これが同社の躍進の転機になりました。小さな不満を解消することで多くのヒット商品が生まれていったそうです。
また、食品会社のミツカンも顧客の声に真摯に向き合う企業のひとつ。ヒット商品である、「金のつぶ」(納豆)は、容器がパキッと割れてタレが出てくる商品ですが、あれも「たれが開けにくい・手が汚れてしまう」という顧客の不満をきっかけに、長年研究して開発された画期的な容器です。もっとお客様に喜んでほしいという同社の姿勢が生んだヒット商品。「開けにくい」という小さな声を無視しなかった企業の姿勢に感動を覚えます。
クレームは宝物と言われていますが、発生したクレームへの対応はもちろん、いかに企業が知らないうちに提供してしまっている「小さな不満」にも向き合っていくか。もっと喜んでほしい、もっと役立ちたいという姿勢がそうした行動を生みます。今、問われているのは企業の姿勢なのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 05 月 30 日 15:13
お店を変えた「対話」
先日、ある会社のミーティングに参加させていただきました。この会社は、以前は本社が店舗に指示を出し動かしていくトップダウン型の会社だったそうですが、それでは持続していかない、各お店が経営者のように考え運営する組織にならねばと、十年前くらいから、それぞれの店舗が店長主体に運営する組織づくりを進めてこられました。その核となったのが「店舗ミーティング」です。
いろんな会社でミーティングは行われていますが、メンバーが発言しなかったり、誰かが一方的に話すだけの場になってしまうことがよくあります。この日、ミーティングが定着し成果が上がっているお店を見学させていただきました。
その日のテーマは、「どうすればよりチームワークが良くなっていくか」。会議の前に店舗スタッフ全員がテーマに対する自分の考えを紙に書いてくるところからスタートします。自分の考えを述べるだけでなく、「なぜ、そう思うのか」というその人の想いを語り合います。店長は傍で見ているだけ。答えを示すことも、誘導することもなく、スタッフだけで対話が行われています。このミーティングでは、結論を出すことにとらわれていません。同じテーマを何回も話し合っていくそうです。
結論を出さない話し合いをしていても無駄ではないかと思ってしまいますが、店長に聞くと、このようなミーティングを続けてきたことでいい変化が生まれてきたそうです。対話を続けてきたらチームの中の人間関係が良くなり、部門を超えた協力や助け合いが生まれるようになってきたそうです。メンバー同士、お互いに関心が向いていったのでしょうか。自分の想いも伝わるようになってきたと話されていました。
「対話」と「議論」。議論は、どうあればいいか、お互いが意見をぶつけ合ってひとつの答えを見つけていくこと。それに対して「対話」は、自由な雰囲気の中で、ひとつのテーマに対するお互いの想いを共有して理解し合うこと。「その人は、そう思っているのか」と、人の奥にある気持ちや価値観を理解し合うことから、本当の納得感が生まれたり、相互の協力が生まれてきたりするのが対話です。
このお店が大事にされてきたのは「対話」。店長が関与していけば、きっともっと早くに結論が出るはず。「こうやっていこう」「こうしてほしい」と指示を伝える方が、伝わるのは早いかもしれません。ただ、それではメンバーは頭で理解したとしても納得感がない。頭でわかっているだけでは、結局、やらなくなってしまうと店長は話されていました。
「対話」は、お互いの価値観を理解し合うこと。私はこう考えるということを話し合う。なぜ、そう思うのかという思いも話し合う。そのプロセスは時間がかかるかもしれませんが、人が働いていく上でいちばん大事な信頼というベースをつくるのでしょう。
私たちはつい、スピードや効率を求めて、メールや何かで端的に手短に伝えたり、早く結論を出そうしてしまいますが、それが逆に納得感を置き去りにしていたり、長い目で見た時の効率や生産性を阻害してしまっているのかもしれません。時間をかけることがいかに大事か。このお店から学んだ気がします。
ちなみに、このお店は今年、お客様満足度や様々な指標でその会社でナンバーワンの成績になったそうです。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 05 月 16 日 15:34
一生懸命の力
仕事が好きだ、楽しい。いつもこの気持ちで働けていれば、自分の心も明るくなるし、仕事の成果も生まれていくはずです。だからこそ、昔から自分の仕事を好きになれということを言われてきました。
では、どうすれば、好きになるのか?私自身が多くの先輩から教わったことは、今の仕事を一生懸命にやることだということでした。一生懸命とは、どうすればより良くなるかと、自分で考え、試し、うまくいくまでやり遂げていくことだ。そうやって仕事をしていると、仕事が好きになる、楽しくなると言われて新人時代を過ごしました。
好きだから一生懸命になれるのではなく、一生懸命にやったからこそ、仕事が好きになる。こんなプロセスを何度も経験した気がします。何事にも一生懸命にやるというスタンスを新人時代に身に付けた人は、きっと、どんな仕事についてもその仕事が好きになり、成功できるのではないでしょうか。
先日、ある自動車販売店の女性スタッフにお話を伺いましながら、そんなことを思い出しました。お客様のおもてなしなどをするショールームアシスタントに配属されたのですが、このお店を良くするために、ここにいる自分がもっと役に立てることは何かと考えました。自分には営業も修理もできない。でもお客様とお話することはできる。そこで、すべての来場者に声をかけお話をすることに挑戦したそうです。続けていくとお客様が笑顔になってくださる。また会話の中で、ふとお客様が「車を検討している」とか「困っている」という声を聴くようにもなりました。彼女はそれを営業に伝えたり、自分で記録して次のご来店時に対応すると、さらにお客様が喜んでくださる。彼女はどんどんと仕事が好きになっていったそうです。彼女の一生懸命さが仲間に伝わり、お客様の声を聴くことがいつしか風土になり、数年後には社内でCS No.1のお店になっていったそうです。
一生懸命にやる。ただ、闇雲に一生懸命にやるといっても、ただ、言われたことを言われた通りにやっていては面白くはなりません。なぜするのか、何のためにするのかという仕事の目的をしっかり理解して、そこに向かって創意工夫する。目的意識こそが一生懸命の原点かもしれません。
誰かの一生懸命が楽しさを生み、成果を生み、まわりの人を巻き込み、より良くしていく。一生懸命には大きな力があるような気がします。
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2023 年 04 月 04 日 10:49
新人の心が育つ風土
先日、ある会社で洗面所を利用させていただいたのですが、そこにおられた若い社員の方が洗面所の回りに飛び散った水を丁寧に拭かれていました。関心して上司の方にお伺いすると、この会社では誰もが次の人が気持ちよく利用できるようにと、洗面所を使ったら清掃をされる習慣があるそうです。
またある会社では、玄関で人を待っていると、玄関を通る社員の方が次々が挨拶をされ、「ご用件お伺いしておりますか?」と声をかけてくださいます。自分のお客様でなくても、誰もが会社のお客様と思い、関心を持つ、気にかける。素晴らしい文化が定着している会社だなと思いました。
誰が見ていようといまいと使った後は綺麗にするという習慣、お客様に声をかけるという習慣。誰もが自然とこんなふるまいが実践されるのは、それがその会社では当たり前の習慣なのです。
この春、新入社員が入社し様々な研修が行われますが、どんなに新人が挨拶の練習をしたとしても、基本のマナーを身に付けたとしても、職場の先輩が挨拶をしなければ、挨拶をしなくなるはず。洗面所を汚したままで立ち去る人が多ければ、それがあたりまえになるはず。
私たちは、新人が挨拶をしない、元気がない、マナーを守らない等と、つい新人のせいにしてしまいますが、本当に人を育てるのは研修の場でなく、職場での先輩の姿であり、風土。そうなってしまっているとすれば、周りがそうなっているのかもしれません。
真っ白なキャンパスの人財が、どのような人に育つか。試されているのは、先輩であり、会社の風土なのではないでしょうか。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 12 月 20 日 11:08
やりがいを高める「Pからの参画」
年末年始は、今年を振り返る時期ですが、一年の終わりに「去年の自分より少し成長できた」と感じられたとしたら、それは本当に幸せだと思います。こんな風に自分の成長を実感できる一年はどんな一年なのかでしょうか。
自分の成長を感じる一年は、やはり、面白く働けたと感じられた一年だったのではないでしょうか。
私自身の体験でも、大きな成長を感じる時は大きなチャレンジをしている時。仕事はいつも以上に大変だった。今年はやったことがないことにトライして本当に苦労した。苦労は多かったけど、それをしていることに充実感があり、面白いことだったと振り返られる時、その一年の終わりに自分の成長を実感します。
当たり前ですが、しんどい、嫌だと感じているだけでは、新しいことに挑戦するのが嫌になります。つい「楽」な方を選んでしまうし、同じことを繰り返しがち。面白いと思って取り組むからこそ、もっと良くしていこう、もっと新しいことに挑戦していこうという気持ちが生まれます。楽しさは成長に比例するものだと思います。
先日、弊社のセミナーに東京で飲食店を経営する「ねぎしフードサービス」の根岸社長とその社員の方にご登壇いただいたのですが、社員のやりがい・人財育成についてお伺いしました。
働く人が仕事にやりがいを感じて働いていくためにいちばん大切なことは何かという質問に対して、社長は「社員がPから参画することだ」と話されていました。PというのはPDCAのPのことですが、ねぎしフードサービス様では、経営計画づくりやお客様づくり、人財共育など、経営の重要なことに社員の皆さんが参画し、みんなで決めていく文化・風土があります。普通はPを会社が考え、社員はDOだけをやる。しかし、それでは社員のやりがいも成長も生まれない。Pから参画していくことで仕事が自分事になり、やりがいになる。やりがいがあると人は成長する。だからPからの参画を大事にしているのだと言われていました。
確かに、誰かが決めたことをやる仕事より、なぜするのか、どれくらいやればいいのか、どうすればうまくいくかという経営の計画から参加する方がやりがいは高まります。例え、それが大変でも、自分達で考え、決めたことなら、最後まで頑張りたいと思えるはず。PDCAのPから関わることで「自分事」になるという組織を続けてこられた結果、コロナにも不況に負けない強い会社になっていったそうです。
仕事が楽しいと思える一年とは、Pから参画し、仕事を自分事として取り組むことができた一年だったともいえるのかもしれません。来年をより良い一年にするには、Pから考える、Pへの参画を増やすことがいちばん大事なのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 12 月 08 日 15:21
遠回りの道、プロセスの大切さ
先日、ある勉強会で、ネッツトヨタ南国の横田相談役と西精工の西社長に、「結果とプロセス」について話し合う機会がありました。
業績・利益がなければ会社は存続しません。だから「結果」を出すことが求められます。結果が出ると人は活気づきますし、そこに報酬が結び付けば一層喜びが高まります。しかし、「結果」を出すことばかりに固守すると、かえって良い結果がでないことがあります。結果を出せない人を追求したり、強く非難する。次第に会社の空気が悪くなる。結果、全体のやる気が低下し、結果も出なくなる。不正が生まれたり、個人主義になってしまうこともあります。しかし、結果が出ないと会社はつぶれてしまいます。結果を大事にするからこそ、それ以上にプロセスを大事にする。ネッツトヨタ南国さんや西精工さんも、遠回りでも、プロセスを少しずつ改善していくことの重要性を話されていました。
今、両社は業績も良く、離職者も少ない素晴らしい会社ですが、最初から良い会社であった訳ではありません。そんな2社が大事にされてきたのが「真因」を見つけ、改善すること。例えば「社員に危機感が少ない」という課題があった時、危機感をあおるだけで危機感が高まるものではない。なぜ、そうなっているのか?その根本原因はどこにあるのか?深く考え根本原因から解決していく。
昔、西精工で大きな事故が発生した時に、西社長は「なぜ、こうした事故が起きたのか」と、その真因を徹底的に考え抜かれたそうです。そしてたどり着いた結論は、事故の「真因」は、働く人の人生の生き方や考え方が未熟だから、事故が起きてしまった。働く人がいきいき働けない風土に問題があるのだ、ということでした。そこから、挨拶の改善、掃除や朝礼の見直し、人づくりや会社風土の改善に取り組まれていかれました。ただ、そうした取り組みは簡単に「結果」につながるものではありません。スポーツでいうと腹筋やランニングなどの基礎練習のようなもの。やったからといってすぐに結果は出ない。それでも、これをしなければ「よい結果」は生まれないと信じて、長年努力を続けてこられた結果、ようやく社員がいきいきと働く会社、事故やミスが起こりにくい会社になられたそうです。「遠回り」に見えることが、実は最も近道である。お二人の経営者が「プロセス」の重要性を語られていたのが印象的でした。
今、サッカー日本代表の選手たちが、素晴らしい活躍をしていますが、わずか数秒の瞬間に良いプレーができるのは、それを想定した練習を、子供の頃から嫌がらずに積み重ねてきた選手だけだと言われています。個人でも、会社でも、やはり良い結果を出すためには、遠回りの道を歩むこと。プロセスを大事にしていくことがいちばん大事なのかもしれません。
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DOIT! 素晴らしい組織風土づくり
2022 年 11 月 02 日 18:36
良き社風をつくる
企業にはそれぞれ独自の社風があります。
社風はその企業が持つ、独自の慣習や雰囲気ということですが、その空気は社長をはじめ、そこで働く社員の人たちが作りあげています。
話しやすい雰囲気、意見が言いやすい雰囲気、助け合うことが当たり前になっている雰囲気、みんながお客様のことを一生懸命に考える雰囲気。こんな良い雰囲気だと仕事はしやすいはずですし、会社も成長していくはずです。
しかし、こうした雰囲気はどのように生まれているのでしょうか。
会社が良い雰囲気になっているということは、そこで働く一人ひとりが、相手の意見を聞こう、みんなで助け合おう、みんなでお客様に役に立とうと思っているということです。つまり、そうしたことが良いと思う価値観を持つ人がたくさんいるから、そんな空気が生まれています。
例えば、失敗を恐れずチャレンジするという社風があるとすれば、きっと先輩もそうするのが当たり前になっているはずですし、上司も自分も過去にそうしてきたから、部下にもそういう機会を与える。この会社の理念や方針の中に長年「失敗を恐れずチャレンジしていこう」という価値観が刻まれていたからこそ、そうした雰囲気の社風になっているはずです。
逆に、そうなっていないとすれば、失敗すると責任を取らされる、叱責されるから、リスクを取るより安定の道を行くことが良いという価値観の人が多いということ。つまり、社風は企業の理念やこれまでの歴史、その企業の中で働く人が体験してきて生まれた価値観が重ね合って生まれていくものです。だからこそ、社風を変えるのはなかなか難しいのかもしれません。
ただ、雰囲気が悪い社風の中ではいろんな問題が起こってきます。意見が言いにくいと不満もたまる。チャレンジを恐れると改善も生まれない。みんなが助け合わないと生産性も悪くなる。社風や雰囲気は様々な問題に直結しています。
どうやって良い社風をつくっていくか。
働く人にしてみれば急に価値観を変えろと言われても変われません。みんなの意見を聞く場や理念を考える場など、様々な経験・体験を通して少しずつ成長し、変わっていくのが人の価値観なのではないでしょうか。
よい社風をつくる道に、近道はないのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 08 月 02 日 10:53
掃除ひとつできないような人間は何もできない
「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」
これは、パナソニックの創業者、松下幸之助さんの言葉です。
掃除というと、単純な作業、簡単にできることと思いがちですが、松下幸之助さんは、ずっと掃除は人間を成長させる大事なことだと考えられていたそうです。
確かに、掃除とは単純な作業のように感じます。
言われた場所を言われた通り、掃除という行為をこなすようにすることも掃除といえば掃除です。
しかし、「綺麗にする」という気持ちで掃除をしている人は、小さな汚れに気づいてそこを掃除します。
誰でもできる掃除でも、いかに綺麗にするか、いかに段取り良くやるかと考えていくことが仕事の面でも成長につながっていく。だから、「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」ということなのでしょう。
「どんな仕事でも、単純な仕事でも、真心をこめてやらないと具合が悪い。そこからいろいろなものが生まれてくるわけや。掃除の仕方でも、やっているうちに、こういう掃除の仕方があるということがわかってくる」
汚れに気づくということは、変化に気づくことができること。
それをすぐに綺麗にすることは、問題解決に向けてすぐに行動できること。
手順よく掃除ができることは、仕事も効率的に行えること。
まさに、仕事の向き合い方がそこに表れているのかもしれません。
朝、行う店内や社内の掃除。
たった10分の掃除でも、どれだけ真心をこめてやっていくか。
単純な作業とどう向き合うか。
掃除は自分の心を磨く修行の場と言われるのは、こんなところにあるのでしょうか。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 06 月 14 日 13:28
遠回りがいちばんの近道
先日、ある企業の創業経営者とオンラインでお話をする機会がありました。その企業は私も以前に取材させていただいた会社で、業界の中でもCS・ESがずば抜けて高い会社です。
いろんなお話を伺う中で、「毎日、ほんの少しの進化することを大事にし、それを何十年もやり続けてきた」「まだまだやるべきことがある」ということをお話いただいたのですが、その言葉がとても印象に残りました。
例えば顧客満足を高めることを一気に行うのではなく、毎日毎日、社員が話し合い、みんなで少しずつ、昨日よりより良くする。社員に任せる範囲をその人の成長に合わせて広げていく。コミュニケーションの悪さを一気によくするのではなく、一人への挨拶から始めていく。その積み重ねを粘り強く続けていくことが、「大きな変化」を生み出していくと信じて、やり続けてこられました。
私たちは、つい早く結果が欲しくなり、本や事例から「やり方」を学んできては、取り入れようします。しかし、そう簡単にはうまくいかないし、結果が出ない。結果が出ないと、「このやり方はダメだ」と次の「やり方」を探す。一気に変えようと思うからこそ、「効率的」で「成果が出やすく」、尚且つ「簡単な」やり方を追い求めてしまいます。
例えば、いい会社の「やり方」を導入すれば、うちもうまくいくと考えてしまいますが、その「いい会社」は、その「やり方」に行きつくまでに、前述したような小さなことを積み重ね、その企業にあった「やり方」にたどり着いているはず。毎日の積み重ねなので、社員の人の納得感もある。
もし、他社がそのいい会社の「やり方」(形)だけを真似たとしても、社員の人たちの納得感もないし、そこまでの積み重ねがないので、目に見えないノウハウがない。だから、形だけを早急に導入してもうまくいかない。本当に学ぶべきは「やり方」ではなく、そこに至るまでに社員の人たちと話し合い、何度も何度も失敗を乗り越えて、進化させてきた、その企業の「姿勢」(あり方)なのではないでしょうか。
どうすれば、うまくいくか?どうすれば結果がでるか?と考えれば考えるほど、効率的で結果の出やすい「簡単なやり方」を真似しようとしてしまいますが、ただ、だいたいそうやって歩んだ「近道」は、結果として遠回りになってしまうことも多い。
同じようなことをイチロー選手が言っていたことを思い出します。
「遠回りがいちばんの近道」
急に変わることはないけれど、毎日、もっとよくなろう、もっとうまくなろうと、少しずつ努力し続けてきたイチロー選手ならではの言葉だと思います。
イチロー選手と、最初にご紹介した経営者の共通点は「ここをめざす」という強い目標意識があること。そして、そのためには「近道」を選ばずに、その目標に向かって毎日、自分達で考え、反省し、少しずつ進化させていく「遠回りの道」を歩んでこられたこと。
目的地にたどり着くまでの「近道」と「遠回りの道」。どちらを選ぶかですね。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい組織風土づくり
2022 年 02 月 24 日 14:08
ロコ・ソラーレに学ぶ心理的安全性の高いチーム
心理的安全性とは、上司や仲間に対して、率直に意見が言えたり、素朴な質問ができたり、いつでも誰でも気兼ねなく発言できるということです。これまでは「正解がわかっていた時代」。上のいうことを素直に実行していれば成果が上がった時代でしたが、誰も正解がわからないこれからの変化の時代には、いい成果を生み出すためにチーム内でメンバー意見を出し合い、創意工夫していく必要があるため、余計に、この心理的安全性が求められているだと言われています。さらに最近の調査研究では、心理的安全性の高いチームは収益性が高く、離職率も低いという結果も出ています。
心理的安全性が高いチームとはどんなチームなのか。北京オリンピックを見ていると、ある有名なチームの記事が目に留まりました。それは、銀メダルと獲ったカーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」です。前回のオリンピックもそうでしたが、みんなが笑顔でのびのびとプレーに向かっている様子は、多くの方が感動されたと思います。
でも、どうやったら、あのような大舞台で笑顔でいられるのか?私も不思議に思っていました。
その記事では、こんなことが書かれていました。
「ロコ・ソラーレの強さは、弱さをさらけ出せるところにある。」
このチームは、以前から「弱さの情報公開」を大事にしているそうです。サードの吉田知那美さんは、チームのことをこう説明します。「弱さの情報公開をする。お互い、余裕のある人がない人を助けていく」。
例えば、9月の北海道銀行との代表決定戦。連敗を喫して崖っぷちに追い込まれた後、スキップの藤澤五月さんは責任を背負い込んで、泣き崩れてしまいました。そんな時にチームメートはこんな風に声をかけます。
「それでいい」「緊張してもいい」「前日、寝られなくてもいい」
そうした声に藤澤さんは、自分のショットを取り戻し、3連勝で五輪最終予選へ駒を進めたそうです。「みんなが受け入れてくれるのがありがたい。かっこつけなくていい」。アイスの状況把握に苦しんだ最終予選。ロコはそれぞれが支え合い、夢の切符をつかんだのだそうです。
「弱さ」を出し合って、それを認めるチームの風土。だから、何でも言えるのでしょう。弱音も吐いていいとう空気だからこそ、安心して前に進めるのかもしれません。
カーリングの試合では選手同士のコミュニケーションが中継されますが、大事な局面、局面で、どうすればいいかをお互いが遠慮なく意見を出し合い、みんなで決め協力していく姿勢は、ビジネスのチームづくりでもお手本にしたいなと思いました。
そして、何よりも学びたいのが、プレーを楽しむ姿勢。結果を出そうとシリアスになるのではなく、自分らしく、カーリングを楽しもうとしているからこそ、素晴らしい力が出る。今回のオリンピックもそうでしたが、仕事でも何でも、やはり最後は、その競技や仕事を愛し、それを楽しむ人たちがよい成果を出していくのかもしれません。何でも言い合え、一人ひとりが自分らしく楽しく働ける組織。これが理想ですね。
余談ですが、藤澤選手は毎試合、自分手に、その日のメッセージを書くそうですが、スイス戦の時に次のようなメッセージを書いておられたそうです。
「BE SATSUKI ENJOY」(さつきらしく、楽しもう
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 01 月 18 日 13:40
既にあるものに気づく
昨日、私も企画委員として運営側として参加している「ホワイト企業大賞」の表彰式と「ホワイト企業フェスタ2022」というイベントがあり、その中で、藤田一照さんというお坊さんのお話を聞く時間がありました。藤田さんはアメリカでフェイスブックやスターバックスなどの会社で座禅を指導する有名な方ですが、直接お話を聞くのは初めてでした。
藤田さんはこんなお話からはじめられました。
「私たちはつい、自分の外側に正解を求めてしまいがち。病気になれば医者に頼り、何か困れば専門家を頼る。しかし、実は自分の中にできることがたくさんある。出来ないことがあると、つい、自分に“足りないものがあるからだ”と考えてしまうが、それは自分を過小評価しすぎ。」
「自分の中に既にあるもの、既に持っているものがたくさんあるのに、外ばかり見ているから、それに気づかない。回光返照という言葉は、外に向かう光を自分にあて直すという意味。自分を知り、自分を信頼することが大事だ。」
自分には既に多くのものを持っていることを知る。自分をもっと信頼する。
頭では理解することはできるのですが、それだけではダメだそうです。それを理解するために、その後に座禅の指導を受けました。
ゆっくりと自分の足や身体に意識を向け、呼吸をしていると、入ってくる新鮮な空気を感じたり、自分を支える足や背骨の存在や大地の存在に気づいたり、空気を吸う身体を感じたり、そこに自分がいることを実感しました。体がホカホカし、だんだんと満ち足りた気分になっていきました。
私たちは穏やかに生きたいと思っていても、つい焦ったり、イライラしてしまいます。それは「まだ足りない」と思ってしまう癖から来ているのかもしれません。もっと、意識的に、自分の中にあるもの、既にもっているものに光を当ててみる必要があるのでしょう。
「企業も拡大を目指すのは足りないと感じるから。そうではなく、今あるもの、自分のリソースを信頼して全力で向かっていけば、自然と人が集まり、発展していくのではないでしょうか。小欲知足の経済は成り立つはず」と仰っておられましたが、そのお話を聞いて、業績を目標に置かず、お客様に喜ばれることを一生懸命に行う、これまで取材したいい会社のことが頭に浮かんできました。
拡大でない、充実や真の豊かさを取り戻す新しい時代がきているのかもしれません。
「ホワイト企業大賞」http://whitecompany.jp/
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